阪神ドラフト6位中野拓夢内野手が、8回の第4打席で初めて規定打席に到達し、打率2割8分9厘で10位にランクインした。「到達はうれしい。出させていただいているので、その期待にもしっかり応えたい」。規定打席は試合数×3・1で、この日阪神は62試合目で規定は192打席。3点を追う8回。先頭で打席に立った中野は、巨人2番手左腕中川の直球を左前へ。五輪代表の侍から安打を放ち、今季13度目のマルチ安打となった。

最近は2番に定着し、この日も1番近本と「チカナカ」コンビでかき回した。1回無死一、二塁からマルテの左飛で二塁走者近本がタッチアップ。中野も一瞬遅れて一塁からタッチアップし、1死二、三塁とチャンス拡大。大山の適時打につなげた。「筒井一塁コーチから『近本さんについて行け』とは言われていた。思い切っていけた」と胸を張った。

5回はボテボテの遊ゴロでアウトも一塁に頭から飛び込んだ。「あれが安打になるかならないかで自分の成績にもかかわってくる。1点差で負けていたし、自然に出た」。中野の闘志あふれるプレーも、首位阪神の原動力だ。【石橋隆雄】

▼阪神の中野が規定打席を満たして打率2割8分9厘で10位に入り、佐藤輝16位と並んで新人2人が登場した。仮に同一年に阪神のプロ1年目選手が複数人シーズン終了時にも規定打席に到達すれば、2リーグ分立後初。球界全体でも62年東映の青野修三と岩下光一以来、59年ぶり。ドラフト新人では球界初という珍しい記録となる。