まいてきた種が、シーズン半ばにようやく芽を出してきた。ロッテ小島和哉投手(24)が4勝目を挙げた。

今季最長の7回を投げ2失点。「チェンジアップがあまり良くなかった」としながら「(捕手の)田村さんにうまくリードしてもらえました」と、良さが引き出された。集中打の打線も含め、仲間に感謝した。

成長のための変化を恐れない。1年目は3勝5敗、2年目の昨季は7勝8敗。先発の座は確実視されていたが、己に進化を求めた。角度をつけるべく、プレートの最も一塁側から投げていた。3月16日のオープン戦・日本ハム戦(ZOZOマリン)で初めて三塁側を踏んで投げた。

「試したんですけど、良くなさすぎて…。ちょっと景色が変わりすぎたので」

次の登板ではプレートの真ん中を踏み、開幕時には一塁側の一番端に落ち着いた。ところが開幕5試合、勝てなかった。

4月下旬、人知れず5センチ少々、立ち位置を三塁側にずらした。プレート位置については、開幕前に「ストライクゾーンに入っていく角度や軌道が、半足変われば結構変わってくるので、そのへんまでうまく使って投球できるようにしたいです」と話したことがある。

5センチ、時にはもう数センチずらして、今に至る。早大の後輩、楽天早川と投げ合った時もひかなかった。早川が踏むのはプレートの最も一塁側。そこが掘れていくが、小島はいつもの“ちょっと横”を貫いた。意を決して動いた分だけ、外角の制球も落ち着いた。この日もストライク率66パーセント。四球から乱れるケースが減り、チェンジアップもさらに生き始めた。

求道は止まらない。「100点の投球を目指そうとしてますけど、100点ってなかなか難しいので。でもそれを目指して考えたり(実際に)やったりするのが面白いので」。規定投球回まで1回1/3足りないが、現時点でイニングも球数もチーム最多だ。「自分で勝ちを消した試合もたくさんありました。今後にしっかり生かせれば収穫になると思う。必ず生かしたいです」。足場を整え、居場所を固めた。枝葉の多い、太い幹を目指す。【金子真仁】