マイナビオールスターゲーム2021(7月16日=メットライフドーム、同17日=楽天生命パーク)のファン投票の最終結果が28日発表され、広島森下暢仁投手(23)がセ・リーグ先発投手部門で初選出された。

広島の歴代エースたちも選ばれてきた勲章は、実力と人気を兼ね備えた証し。侍戦士でもある右腕が、まずはセ界代表で夢の球宴のマウンドに上がる。広島からは外野部門で同じく侍戦士の鈴木誠也外野手(26)も選出された。

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プロ初勝利を手にしてちょうど1年後の6月28日、森下が新たな勲章を手にした。オールスター戦のファン投票選出選手が発表され、セ・リーグの先発部門で最多得票で初選出された。ルーキーだった昨季は10勝を挙げたが、コロナ禍の影響で球宴が開催されなかった。それだけに、喜びは大きかった。

「本当にうれしく思います。いろんな人が集まるので、その中に野球ができるのは本当に楽しみです。(球宴開催は)いろんな人の支えがあってからだと思うので、しっかりとしたピッチングができたらいいなと思っています」

今季は新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判定され、今月3日まで隔離期間を過ごし、22日には前日に接種したワクチンの副反応が出るなどアクシデントが続く。それでも11試合で4勝4敗、防御率はリーグ3位の2・36。クオリティースタートを達成できなかったのは、わずか1試合という安定感を誇る。人気だけでなく、実力も兼ね備え、最多得票となった。

広島の投手では19年大瀬良以来の、先発投手部門1位選出になる。過去には黒田博樹や前田健太(ツインズ)ら鯉の歴代エースたちも選ばれてきた。夢舞台では、19日のDeNA戦で記録した自己最速156キロの更新も期待されるが、「もうあれ以上出ないと思うんで」と笑ってかぶりを振る。「普通よりいい球を投げられるように頑張りたいと思います」。各球団の強打者が集うパ・リーグの猛者が相手でも、真っすぐと変化球の組み立てで抑え込むスタイルを貫く意気込みだ。

球宴が終われば、東京五輪に向けた侍合宿が始まる。「すごくいい経験だと思うので、成長していけたらなと思います」。チームメートの鈴木誠のほか、阪神岩崎やヤクルト山田ら侍メンバーも多くファン投票で選出されている。合宿を前に、親睦を深める機会ともなる。球宴で快投し、五輪での金メダル獲得に弾みをつける。【前原淳】