3球、しっかり振った。初回2死二塁。阪神佐藤輝明内野手(22)が、フルスイングで甲子園を沸かせた。ヤクルト高梨の初球内角直球を一塁アルプススタンドへ強烈なファウル。3球目のフォークに空振りすると、1ボール2ストライクからホームベース手前で弾む133キロフォークに手を出した。これで両リーグ最速で100三振に達した。

4回の第2打席、8回の第4打席でも空振り三振。71試合で「102」まで積み上がった。143試合換算では205三振で、93年ブライアント(近鉄)のプロ野球記録、204三振を上回るペースだ。矢野監督は「小さく振ってもホームランを打てるんで。『フルスイングイコール全力で振った、むちゃ振り』というのも違うから、減らしていかないといけないし、三振が多いのが良いとは言えない」と注文をつけた。

そんな指揮官が「内容として良かった」と評価したのは6回の第3打席。追い込まれてから低めのフォークを見逃して四球をもぎ取った。「ああやって見逃されると、次にストライクを投げていくようにバッテリーはいく。振る怖さと振らない怖さが出てくると本物のバッターに変わっていくのかな」と捕手目線で語った。「送り出す立場としては『小さいことを気にせずにどんどんいけよ』という形で送り出したい。そこから今日みたいに四球を選ぶとか、コンタクトできるようになっていかないと」。怪物と呼ばれるルーキーだからこそ、身につけてほしい技術を指摘した。

佐藤輝も「三振してしまうのは技術が足りないだけ。そこで当てていくような打撃はしたくない」とかつて自身の弱さと信条を口にしていた。ここまで19本塁打のうち9本が追い込まれてからで、102三振のうち、空振り三振は94。今は長打と三振は表裏一体。これからも振り続け、体で学ぶ。【中野椋】