日本ハムが劇的勝利で“弔い星”を飾った。

試合中盤から激しさを増した雨の中、真っ暗な天に向かって両拳を突き上げた。高浜が9回2死一塁から、殊勲のサヨナラ打。しかも、相手は開幕から連続無失点を続けていた西武平良だ。カウント1ボール2ストライクからの5球目。ど真ん中に入った速球を、きっちり仕留めた。中堅フェンスを直撃する勝ち越し適時打に「最高です。自分が(平良の記録を)止めてやるという強い気持ちでいきました。打てて自信になります」。チームメートから手荒い祝福を受けた背番号91は、照れくさそうに笑った。

ユニホームの右袖では、雨にぬれた喪章が光っていた。6月30日に亡くなった大島康徳元監督(享年70)を悼み、試合前には両軍が黙とう。バックスタンドには半旗が掲げられた。高浜は「名前を知っているくらいですが、大島さんに勝ちを届けられて、すごくうれしいです」と、丁寧に言葉を紡いだ。現役時代や監督時代は知らなくても、球団の歴史をつくった先輩の生き様へのリスペクトは忘れていない。最高の“弔い星”となり、栗山監督は「こういう試合が北海道で出来て良かった。ファイターズの礎を作ってくれた大島さんに対して、いいチームを作っていきますという思いが、こういう形になったと思う」と、うっすら目を潤ませた。

2年ぶりに開催された旭川の試合で、チームは今季2度目のサヨナラ勝ち。ヒーローインタビューで、高浜は「皆さんの拍手が、僕の最後の打球に乗ってくれたと思います」。悪天候の中、最後まで見守った3495人にとっては、忘れられない試合になったに違いない。チームはドラマチックに旭川の夜を制し、連敗は2でストップ。球宴までの前半戦ラストスパートへ向けて、負けられない1週間が始まる。【中島宙恵】

▽日本ハム王柏融(3回に左越え6号2ラン) (本塁打を)狙っていないけど、強い打球を意識した。勝利に貢献できて良かった。

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