東京オリンピック(五輪)の侍ジャパンに選出されている広島森下暢仁投手(23)が、8回5安打無失点の快投で6勝目を挙げ、チームを今季初の4連勝に導いた。

9回には同じく代表入りした栗林良吏投手(26)が、圧巻の3人斬りで18セーブ目を挙げた。侍2投手による完封リレーで、前半戦の最終戦を最高の形で締めくくった。

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森下がマウンド上で仁王立ちした。最速152キロの切れ味抜群の直球とカーブ、カットボールを巧みに操り、8回無失点の快投で6勝目を手にした。「チームも連勝していましたし、柳さんとの対決だったので、とにかく勝ちたいという思いでマウンドに上がりました」。3度目の対決となった明大の3学年先輩の中日柳との激しい投手戦を制し、前半戦ラストを完璧な形で締めた。

課題の立ち上がりを乗り越えた。前回登板まで3試合連続で失点を許した初回を、3者凡退で切り抜けた。「ファウルになってくれと投げた部分もありましたし、(先頭の京田が)一ゴロで終わったのでよかったです」と振り返った。

得点圏に走者を背負ってから無類の強さを発揮する。2回の1死二、三塁からは、阿部、木下拓にこの日最速の152キロ直球を連発させるなどして空振り三振、中飛に退けた。「1点を何としてでも守ろうと思った」。6回の1死二塁では、中軸の大島を三ゴロに仕留め、ビシエドには外角低め150キロ直球で見逃し三振にねじ伏せた。得点圏での被打率は0割9分8厘。球界を見渡してもオリックス山本(2割1分1厘)、楽天田中将(2割2分4厘)、阪神青柳(1割3分8厘)をしのいでいる。

これで10試合連続のクオリティースタート(QS、6回以上、自責3以下)を達成。防御率は柳を上回る2・29で、リーグ2位に浮上した。お立ち台では東京五輪へ向け「日本代表のチームの一員として、金メダルをとれるように頑張ってきたいです」と力強く宣言した。球界トップレベルのゲームメーク力を発揮し、侍ジャパンを頂点へ導く。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(森下について)「初回をしっかり抑えられた。そこが波に乗っていけたというところだと思う。こういうゲーム展開で粘り強い、森下らしいピッチングだった」