高卒2年目の広島玉村昇悟投手(20)が、オール直球勝負で全イ打線を1回無得点にねじ伏せた。2年ぶりに開催された「フレッシュオールスターゲーム2021」(松山・坊っちゃんスタジアム)で、全ウの3番手で4回に登板。切れ味抜群の直球で上位打線を手玉に取った。1軍で先発ローテーションの一角を担い、2勝を挙げている左腕が、わずか7球で貫禄を示した。

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玉村の直球が、松山の地で、うなりを上げた。4回のマウンドにさっそうと現れた左腕。DeNA森を外角直球で空振り三振、日本ハム万波を初球で投ゴロ。西武渡部に左前打を浴びたが、バッテリーを組んだ同僚の石原が、二盗を試みた渡部をストライク送球で阻止。わずか7球で役割を果たした左腕は「最後、打たれたんですけど、楽しめたかなと思います。石原さんが最後に刺してくれてよかった」とはにかんだ。

オール直球勝負で挑んだ。試合前に石原と「3者連続三振を狙っていこう」と目標を決め、臨んだフレッシュ球宴のマウンド。3三振こそ奪えなかったものの、最速142キロの糸を引くような切れ味鋭い直球で同学年のDeNA森から三振を奪い、場内を沸かせた。「良いバッターというのは知っていた。力勝負というのはどうしてもシーズン中はできない。こういう時しかできないので、できてよかったです」と笑った。

高卒2年目の今季、貴重な左腕の1人として先発ローテーションの一角を担う。6月18日DeNA戦でプロ初勝利を挙げ、ここまで8試合に先発し、2勝3敗で防御率は3・26。投げる度に安定感を増している。「1軍のマウンドで投げさせてもらって、いろんな経験、失敗とか収穫がいろいろあった。後半は試合をつくれるようになっていたのが収穫だと思います」と胸を張った。

勝負の後半戦へ向け、左腕は「体作りを含めて、まだまだ成長していけるようにしたいです」と目をギラつかせた。未来のスターが集まるフレッシュ球宴で、まだまだ発展途上ながら、確かな存在感を示した。【古財稜明】