全セの広島栗林良吏投手(25)が、球宴でホロ苦デビューとなった。「マイナビオールスターゲーム2021」の第2戦(楽天生命パーク)で、同点の8回に初登板。1死一塁から全パの楽天島内に右翼線へ決勝の適時二塁打を浴び、まさかの失点で敗戦投手に。カープの守護神にとって、学び多き初球宴になった。

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「防御率0・53」を誇る栗林が、お祭りムードの全パの勢いに飲み込まれた。3-3の8回に登板。1死一塁から全パの楽天島内に、追い込んでからの3球目、決め球のフォークを捉えられた。打球は右翼線を抜け、勝ち越しを許した。失点したことで、2死三塁から、登板機会がなかった巨人高梨にバトンを渡した。球宴デビュー戦で、シーズンは鉄壁の右腕がまさかの敗戦投手となった。

「高梨さんにも迷惑をかけましたし、あそこを抑えていたら、9回のところで逆転していたかもしれない。そういう意味では自分の実力不足が出て、すごく悔しい気持ちはあります」

悔しさの残る登板となった。先頭の小深田には、10球中9球で直球を投げ込み、ファウルで粘られて最終的には四球を与えた。「真っすぐで空振りが取れなかった。空振りが取れるように磨いていかないといけない」。島内に浴びた決勝打については「三振を取りに行った球を打たれた。カーブもフォークもカットボールも全部課題かなと思います」と、お祭りでも勝負師の悔しさが先行し、笑顔はなかった。

ただ、悔しさばかりではない。初出場の球宴は、多くの初対面の選手とコミュニケーションを取れる場でもあった。中日のリリーバー又吉からは「ケガをしない体作りの話」の助言をもらった。中継ぎは登板が重なるため「疲れがたまってないと思ってもたまっていることが多い。自分が思っているよりも、オフは思い切って休んでみた方が、次のシーズン、意外といいかも」などと、アドバイスを受けたという。「たくさんのチームの活躍されている方とコミュニケーションを取ることができた面ではよかった」と振り返った。

球宴での悔しさを糧に、東京五輪へ気持ちを切り替える。「自分のせいでチームが負けてしまった。そういう意味ではしっかり日本代表ではチームに貢献できるようにやっていきたい」。広島が誇る黄金ルーキーが、国際舞台に照準を定めた。【古財稜明】