前半戦に8勝を挙げたロッテ岩下大輝投手(24)が、全国各地で熱戦を繰り広げる高校球児たちのことを想った。

星稜(石川)を卒業して7年になる。卒業から数年は仲間と会うたびに話題になったというのが、3年夏の石川大会決勝だ。9回表終了時点で小松大谷に0-8で負けていたものの、その裏の猛攻で9点を取ってサヨナラ勝ちした。

岩下は「言われたら思い出しますけど、そこまで僕的にはあまりいい試合ではなかったので。僕、点を取られているイメージの方が強いので」と口は重い。

世紀の大逆転として、翌日は日刊スポーツ東京本社版の1面も飾った。なぜ、逆転できたのか。

「どうなんだろう…。やっぱり、先頭がキャプテンで四球で出て、次がその日控えだった3年生が出てヒット打ってるんですけど、あの2人がつないでなかったら、多分すぐ終わってたので、2人が頑張ったからこそ」

自身は4点差に迫ってからの無死一塁で、左翼席場外に消える2ランを放った。それでも「僕は何もしてないです」と謙虚だ。そのココロは「(本塁打で走者がいなくなり)流れ、切っちゃったので」。走者なしからさらに3点を取ってくれた仲間に感謝する。

直球とフォークで押す豪快なイメージの岩下は、謙虚で優しい。高校球児へのメッセージも「水分と塩分には気をつけて。熱中症にだけは本当に気をつけて」だった。

「最後までグラウンドに立っていることが大事だと思うんで…。頑張ってほしいです!」と健闘を祈っていた。【金子真仁】