ケガに悩まされたが、大きな可能性を秘めた右腕だった。中日木下雄介投手の150キロを超える直球は回転数が多く、回転軸もきれい。そのためホップ成分が多い特徴のある球だった。予告直球で空振りさせた元阪神藤川球児氏から「中日の藤川球児になれる」と太鼓判をもらったこともあった。

野球に取り組む姿勢は真剣で、向上心にあふれていた。今年2月のキャンプでは楽天田中将のスプリットの握りを教わりたく、中日に在籍したことのある楽天小山投手コーチをつてに、直撃。田中将からしっかり握りを教わった。

3月の日本ハムとのオープン戦で右肩を脱臼し、1年間投げられないのならと、4月に右肘のトミー・ジョン手術も同時期に行った。まじめにリハビリに取り組み「順調です」と周囲に話していたところ。来年の復帰が期待されていたが、木下雄の“火の玉ストレート”は、もう見ることができなくなってしまった。

◆木下雄介(きのした・ゆうすけ) 1993年(平5)10月10日生まれ、大阪市出身。生光学園では甲子園出場なし。駒大進学も1年で中退し、15年に四国IL・徳島と契約。16年育成ドラフト1位で中日入団。2年目の18年3月に支配下登録され、同年4月15日DeNA戦でプロ初登板。20年9月5日ヤクルト戦で初セーブ。今季推定年俸900万円。183センチ、80キロ。右投げ右打ち。