ソフトバンク東浜巨投手(31)が8回2安打無失点、無四球で自己最多の11三振を奪う快投で今季3勝目。チームを連勝に導いた。前半戦は右肩不調などで出遅れ、不本意な成績だったがオリンピック(五輪)中断期間を生かして立て直した。昨年は開幕投手も務めた右腕が、後半戦は先発陣の軸の1人として逆転優勝へ腕を振る。

   ◇   ◇   ◇

僅差の展開を感じさせないほど、スイスイとアウトを重ねた。自身1カ月ぶりの公式戦。初回こそ2安打で2死二、三塁のピンチを背負ったが、ここからギアを上げた。渡辺を内角直球で見逃し三振に斬ると、粘投派らしからぬ奪三振ショーが幕を開けた。

2回先頭の野村を空振り三振。3回無死では味方失策で走者を背負ったが、1死から西川を併殺打に打ち取り3人で終えた。4、5回は圧巻の6者連続三振。ストレートあり、カーブあり。空振りも見逃しもありという、持てるすべてを駆使した投球で日本ハム打線を牛耳った。6回以降も三振を積み重ね、新人だった13年に記録した10個を上回り、11奪三振はプロ最多。結局、2回以降は安打も四球も許さず、すべての回を打者3人ずつで打ち取る快投だった。

前半戦は右肩の不調や、昨年末に新型コロナウイルスに感染した影響などで出遅れ、7試合の先発で2勝2敗。「すべてに対して物足りないなというのは、ずっと思っていた」。中断期間の1カ月は黙々と走り込み、トレーニングに打ち込んだ。毎日のようにブルペンの傾斜を使い、感覚を確かめるようにボールを投げた。「ぼくはあまり三振を取る投手じゃない。これだけ取れたというのは、1カ月でやってきたことが出たのかな」。自らを追い込んで、戦える状態に仕上げた。

東京五輪では心震える場面もあった。空手男子形で喜友名諒が沖縄県人として初の金メダルを獲得。テレビの生中継で応援し「面識はないんですが、同い年。沖縄は空手発祥の地ですし、空手界と言えば喜友名選手。沖縄にいるときからずっと見ていた。いち県人として誇らしく思う。演舞を見て、鳥肌が立ちました」。野球でも同郷の西武平良が金メダルに貢献した。同じ沖縄の星として、後半戦は輝いた姿を見せる。【山本大地】