あっぱれドラ2ルーキー! 阪神先発の伊藤将司投手(25)が8回4安打2失点の大奮投で、チームの4連勝&堅首を導いた。球団新人左腕の6勝は86年の遠山昭治以来35年ぶりで、67年の江夏豊を含めて3人しかいない快記録だ。うち3勝がDeNAからと、キラーぶりを存分に発揮してレジェンドの仲間入り。新人王レースは同僚佐藤輝や広島栗林が優勢だが、勝ち続ければ大逆転もあるぞ。

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6勝目をゲットした伊藤将は攻撃陣への感謝を口にした。「野手のみなさんのおかげで勝てました」。オースティンに勝ち越しソロを被弾した直後の8回、3点を奪って逆転してくれた。それでも8回4安打2失点でチームを4連勝に導いたヒーローは色あせない。矢野監督も「この試合のMVPは将司」と絶賛した。

五輪中断の1カ月を有効利用した。前半使わなかったスライダーを加え「今日は打者のタイミングをずらすくらいはできた」と投球の幅を広げた。矢野監督から真っすぐのキレを求められた“夏休みの宿題”も完了。2回に4番オースティンから内角低めの直球で見逃し三振を奪うなど、コースに力のある直球を決めて回答した。守っても、4回2死一塁で宮崎の強烈なライナーに好反応。グラブが吹っ飛んだが落ち着いて素手で拾い、一塁送球した。

同点の7回2死一、三塁で打席がきた。「交代か際どいところだったけど、監督も投げることを勧めてくれた」。代打ではなく続投を選んでくれたことがうれしかった。打席では四球を選んだが無得点。その裏オースティンに1発を浴び、「打たれたので80点」と悔しがったが、逆転してくれた8回は「一層気持ちを引き締めて投げた」と3者凡退。小さいころ、ゴルフで鍛えたメンタルの強さを発揮した。

前半で5勝も交流戦後は不調に陥った。「秋山さんから、勝てない時は自分のコントロールできる範囲のことを考えて(気持ちを)調整していくようにと言ってもらいました」。秋山から目標イニングなど、目に見える数字を考えるように助言をもらって救われた。

DeNA戦は無傷4戦3勝のキラーぶりを存分に発揮。阪神新人左腕の6勝は86年の遠山以来35年ぶりで、67年の江夏を含めて3人しかいない快記録だ。白星をさらに重ね佐藤輝、広島栗林らが優勢な新人王争いを猛追する。【石橋隆雄】