運命のTG首位決戦だ。矢野阪神が3日から後半戦初めて首位巨人との3連戦に臨む。銀傘を激しい雨が打ちつける甲子園。中止の知らせを受けた矢野燿大監督(52)は、宿敵との戦いを思い描いた。

「もちろん目の前のライバルというか、敵でもある。しっかりした野球をしていくというのが必要なチームだと思う。走攻守全てにおいてね。そういう野球をしていく必要がある」

最後にライバルと対戦した7月から、セ界の情勢は大きく変化した。阪神は8月29日広島戦に敗れ、148日ぶりに首位から陥落。巨人とは追われる側から追う側に立場が逆転した。さらにライバル球団は日本ハムからスラッガー中田を無償トレードで獲得。もちろん、指揮官もその存在が気になる。

「中田が後から出るにしてもそういう選手がベンチにいるというのは、もちろん簡単ではない。ホームラン打てるというのは警戒が必要な部分はバッテリーとしても出る」

この日は思わぬ雨に降られた虎だが、雨上がりは強いというデータもある。今季の中止(またはノーゲーム)直後の試合は4勝1敗。野手陣のバットも活発で、特にマルテは打率4割6分7厘、3本塁打、7打点の活躍。8月31日の1軍復帰から勝負強さを発揮する背番号31は「1試合1試合、チームのためになるように100%全力でやっていきたい。それがいい方向に向けばと思う」と頼もしい。

「伝統の一戦」を終えると、週明けにはヤクルト3連戦も控える。総力戦でぶつかるしかない-。そう問われた指揮官は「それしかないし、急に違う野球もできないんで」と力を込めた。シーズンの行方を左右する激戦が甲子園で幕を開ける。【桝井聡】

○…井上ヘッドコーチは中田加入の影響を対戦相手として前向きに捉える一面も見せた。長打力はもちろん警戒。ただ「中田翔が入ったことによって、例えば他のちょっといやらしいバッターが出なくなったと、逆手に取れば全てが全てマイナスに考えなくてもいいのかな」と説明した。巨人戦のキーマンに挙げたのは中軸。外国人3人について「マルテはどちらかというとユーティリティーに対応できるバッター。だからロハスとサンズの使い方はちょっと変わってくるかな」と臨機応変に起用を変えてきそうだ。

▼2位阪神は3日から巨人と3連戦。首位奪回条件は、阪神の2勝1分け以上。1敗すると3連戦中には巨人を勝率で上回ることができない。3位ヤクルトも不気味だ。2差あるが、負け数は阪神より5つ少なく、消化試合数も5つ少ない。巨人に1つでも負け、ヤクルトが相性のいい広島戦で3連勝すれば、3位に転落する。

<今季の阪神―巨人戦>

▼4月7日 新人伊藤将が球団初のG戦初登板初勝利

▼4月8日 高橋らに3安打に封じられ3連勝ならず

▼4月20日 クリーンアップが5発で7年ぶり8連勝

▼4月21日 先制すれば勝つ神話が16試合でストップ

▼4月22日 先発5回以上投球の神話も21試合で終了

▼5月14日 梅野の決勝打で勝ち、巨人に4・5差

▼5月15日 TG戦2000試合で佐藤輝が猛打賞

▼5月16日 守護神スアレス最速162キロで完璧救援

▼6月18日 サンズの満塁弾などで快勝、7連勝飾る

▼6月19日 佐藤輝がセ・リーグ全球団制覇の17号

▼6月20日 連敗も佐藤輝が球団新人初G戦2戦連発

▼7月9日 秋山が雨中の熱投。降雨コールドで勝利

▼7月10日 左腕伊藤将が最短4回6失点KOで完敗

▼7月11日 西勇は1失点完投も1安打のみ完封負け