広島高橋昂也投手(22)が6回無失点と好投し、約4カ月ぶりの復活星となる3勝目を手にした。ヤクルト戦に先発。初回のピンチを切り抜け、4回以降は無安打に封じた。打線も左腕の快投に導かれ、鈴木誠、菊池涼、坂倉の3発で左腕を援護した。なかなか埋まらなかった後半戦の先発ローテーションの6枚目に、頼もしい左腕が加わった。

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初心に立ち返った。高橋昂が最速140キロ台前半の直球とカットボールを中心とした変化球を低めに丁寧に集め、ヤクルト打線から凡打の山を築いた。「粘り強く投げられた」。6回で96球を投げ、5安打1四球で5三振を奪い、無失点。5月14日DeNA戦以来、約4カ月ぶりの勝ち星をもぎ取った。

「なかなか勝てない時期があったんですけど、何とか勝つために練習してきたので、今日勝ててほんとに良かったです」

尻上がりに状態を上げていった。初回、1死から長短の連打を浴び、一、三塁で迎えた村上を低めの変化球で一ゴロに。サンタナに内野安打を許し、満塁のピンチを招いたが、坂口を右飛に仕留め、窮地を脱した。「球数を投げることで、ボールの精度が上がってきたと感じた」。4回以降は1四球を与えたのみで、無安打に切り抜けた。

「(4カ月は)長かったですけど、2軍でいろいろお世話になったコーチ、トレーナーさんだったり、その人たちのことを考えて、思って投げました」

原点回帰で本来の姿を取り戻した。19年の左肘のトミー・ジョン手術を乗り越え、今季は序盤に2勝を手にした。だが、6月以降は苦戦を強いられ、2軍生活が続いた。その際に、小林2軍投手コーチから「自己満足の全力で投げるだけの投球になって打たれている。しっかりと思ったところに投げられるようになれば、もっと勝てるよ」と助言を受けたという。「そういう投球が自分のスタイルなんだなって。見つめ直して、自分のスタイルというのを再確認できた」と振り返った。

空白となっていた先発ローテの6枠目定着へ、大きな1歩を踏み出した。「今後投げる試合は全部勝つつもりで頑張りたい」。新たに宿した自信を胸に、勝ち星を積み上げていく。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(先発高橋昂について)「走者を出しながらも何とか粘り強く投げてくれた。しっかり下半身を使いながら、前でボールを離す、低めに投げると意識をして、曲がり系のボールで詰まらせることができていた」