中日ナインが、8月3日に27歳の若さで死去した木下雄介さんの追悼試合で白星を届けた。0-0の8回2死二塁で、代打福留が決勝の適時二塁打。エスコバーの内角攻めに耐え、カウント1-1からの3球目を中堅深くに運んだ。ここ5試合で3度目のV打で、ベテランが存在感を示した。

福留 (木下さんは)常に前を向いている選手でした。向かっていく気持ちを前面に出さないといけない。

次打者の京田は左翼線へポトリと落ちる適時二塁打で続き、9回の守備では涙がほおを伝わった。

京田 雄介さんが(左翼線へ)落としてくれた。諦めない気持ちを僕に教えてくれた。休みの日はご飯とか一緒に行っていた。(観客席にいる)家族の方を見た瞬間にウルっときた。

試合後には、選手会長としてウイニングボールを家族へ届けた。

木下さんは右肩リハビリ中の7月6日にナゴヤ球場で倒れて救急搬送され、意識不明のまま亡くなった。この日は昨年、木下さんがプロ初セーブを挙げた日だった。ナインらは木下さんの背番号98の特別ユニホームを着用。試合前のセレモニーでは98が描かれたマウンドで与田監督、京田らが献花し、長女叶望(かの)ちゃん(4)と長男志厳(じげん)ちゃん(2)が選手たちが見守る中、始球式を行った。

昨年は8年ぶりのAクラスとなる3位だったが、現在は3位ヤクルトと10ゲーム差の4位。厳しい戦いが続く。福留がナインの思いを代弁した。「苦しいと弱音を吐くわけにはいかない。報告できないし、恥ずかしい。そうならないように」。この1勝が反攻の転換点になることを、木下さんも願っているはずだ。【伊東大介】

▽木下雄介さんの家族(球団を通じて) 木下雄介のために追悼試合を行っていただきありがとうございました。本人も喜んでいると思います。これまで、雄介に応援いただきましたファンの皆様、関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

▽中日与田監督(追悼試合で白星) (木下さんの)遺族がお見えになっていたので、勝利を何としてでも届けたかった。思いが結果になってよかった。

▽中日ロドリゲス(5回無失点) 四球が多かったけど、5回まで0点で抑えることができてよかった。今日はキノシタのためにいい投球をしたいと思っていた。

▽中日田島(2番手で1回3人ピシャリ) 大切な試合でしっかり抑えられて良かった。

▽中日祖父江(3番手で7回1死満塁の危機をしのぐ) ピンチを作ったが、木下の家族が見ている中で0で抑えられて良かった。

▽中日R・マルティネス(9回を締め15セーブ) 今日はブルペンから木下のために全力で投げようと思っていた。0で抑えられて良かった。

▽中日福田(8回1死一、二塁で柴田の左邪飛をフェンス際で好捕) なかなか練習でできないプレーでしたが、しっかり捕球できました。