巨人戦で燃え尽きたのか? 阪神が3位ヤクルトに完敗し、2・5ゲーム差に迫られた。ベテラン糸井嘉男外野手(40)を3番右翼で起用する日替わりオーダーで臨んだが、打線は2安打と沈黙。投手陣も18安打12失点と打ち込まれた。前カードの巨人戦では、驚異的な粘りを発揮。2勝1分けで首位を奪還したが、この日は強い虎の姿はなかった。

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G倒疲れなのか? 激勝疲れなのか? 矢野阪神がお得意の3位ヤクルトに信じられないほどあっさり敗れた。今季8度目の完封負け。スコアボードには0-12の無残な数字が残った。サンドバッグ状態の投手陣は今季ワースト18被安打と打ち込まれ、打線はわずか2安打。試合後の会見場に現れた矢野監督の表情もさすがに浮かない。

「バッテリーがどうしても先にポンポンといかれちゃうというね。点取られているところでリズム作れないというのはある。それを巨人戦は逆転できたけど。打者陣もそれを言い訳にはできないけど。確かに奥川いいなと思っていたけど。その中でもうちょっと何かできる打線になっていかないといけない」

週末の上げ潮ムードが一変した。初回に3者凡退で倒れると、淡泊な攻撃が続いた。ヤクルトの20歳奥川の前に続く沈黙…。ヒットは2回糸原の中前打と6回梅野の右前打だけで、3回の3者連続を含む8三振を奪われた。前カードの巨人3連戦は劇的なサヨナラ勝ちを含む2勝1分けとライバルを蹴散らした。燃え尽き症候群ではないだろうが逆転の虎が、この夜は借りてきた猫になってしまった。

打線の並びも指揮官を悩ます種になりそうだ。この日は5日巨人戦で同点打を放ったベテラン糸井を6月13日楽天戦(楽天生命パーク)以来、約3カ月ぶりに先発で起用。自己ワーストの33打席連続無安打と苦しむ佐藤輝は、3試合ぶりにスタメンから外した。首脳陣は打線を固定しない「日替わり打線」を組む方針だが、この日は苦心のオーダーが実ることはなかった。

ヤクルトが不気味だ。この日は2位巨人も敗れて順位に変動はなかった。ただ、1位阪神から3位ヤクルトとの差はわずか2・5ゲーム。矢野監督は今シーズン中に再び対戦するであろう奥川に対して「こっちとしてはどうやって対策していくかを考えないといけない」と表情を引き締めた。シーズンは筋書きのないドラマ。どう転んでもおかしくない。トンビに油揚げ…なんてことだけは避けなければいけない。【桝井聡】