左のエースは俺だ! ヤクルト高橋奎二投手(24)が、6回を6安打3失点と好投。阪神高橋との“高橋ダービー”を制し、3勝目を挙げた。今季8登板のうち、6回以上自責3以内のクオリティースタートを6度記録。安定した投球を続けてきた。緊迫感あるマウンドにも気後れせず、首位阪神に2・5差。2位巨人とは0・5差に迫った。高卒6年目左腕が頼もしさを増してきた。

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威風堂々と投げ込んだ。負ければ首位阪神と4・5差と突き放される戦い。それでも高橋は、プレッシャーを気にしなかった。「ここ最近は自分のピッチングができている」。勝ち星はあまり伴わなくても、試合を作り続けてきた自信がある。4回に3点を失うも、動揺せずに腕を振った。6回2死一塁、佐藤輝をワンバウンドの117キロスライダーで空振り三振に封じた。役目を終えると、ベンチへ引き揚げながら、何度も両手をたたいて、感情を爆発させた。

いつも通りのマウンドで、いつも通りではないこともあった。「変化球自体もある程度コースに決まっていて。追い込んでからもストライクからボールになる変化球が投げられた」と納得した。チェンジアップやスライダー、最遅108キロのカーブがあるから直球が生きる。緩急で揺さぶり、龍谷大平安(京都)2年春のセンバツで優勝に貢献した思い出の球場で、プロで初白星を収めた。

今季初登板は6月13日ソフトバンク戦と出遅れたが、以降はコンスタントに先発登板を続ける。一番の変化として、脱力投法が好調を支えてきた。ゆったりしたフォームに重点を置く今季。「足を上げたところからゆっくりというイメージができている。あれがいいのかなと思う」と分析する。しっかり立ち、タメをつくることで、課題の制球力も向上。ストライクゾーンで勝負できることが、結果につながってきた。

首位との直接対決3連戦。初戦で6勝目を挙げた高卒2年目の奥川と、正念場で阪神相手に今季初のカード勝ち越しを成し遂げた。「後輩には負けたくないという気持ちがずっとある」と切磋琢磨(せっさたくま)し合い、左右の次世代エースとして台頭。逆転優勝へ向けて、大きな柱が誕生の予感だ。【湯本勝大】

▽ヤクルト高津監督(阪神3連戦を奥川、高橋の若手で勝ち越し)「初戦の奥川もそうだが、この3連戦を彼らに託して、いい経験をさせて成長させたいと思った。(高橋は)3点は取られたが、よくあそこで踏ん張った」

 

◆高橋奎二(たかはし・けいじ)1997年(平9)5月14日、京都府生まれ。龍谷大平安では14年センバツで優勝するなど甲子園3度出場。15年ドラフト3位でヤクルト入団。プロ3年目の18年に1軍デビューし、同年10月2日DeNA戦で初勝利。今年1月に元AKB48の板野友美と結婚。今季推定年俸1450万円。178センチ、73キロ。左投げ左打ち。

◆「高橋」姓のプロ野球選手 現役選手は、巨人高橋優貴、阪神高橋遥人、中日高橋周平、宏斗、広島高橋昂也、樹也、大樹、ヤクルト高橋奎二、ソフトバンク高橋礼、純平、西武高橋光成の11人。鈴木13人、田中12人に次ぎ、佐藤11人と並んで現役では3番目に多い。主なOBは、投手では71年に完全試合の高橋善正(東映)、79年に20勝するなど通算169勝の高橋直樹(日本ハム)、2度の沢村賞に加えて胴上げ投手に9度なった高橋一三(巨人)、07年に最優秀防御率と最高勝率の2冠の高橋尚成(巨人)、野手では3度の盗塁王に輝いたスイッチヒッターの高橋慶彦(広島)、打率3割7度で監督も務めた高橋由伸(巨人)、09年にベストナインの高橋信二(日本ハム)ら。71~72年の西鉄には、投手と外野手で「高橋明」の同姓同名選手がいた。