苦労人のバットが劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。楽天時代の18年以来、1089日ぶりに1軍出場を果たした巨人八百板卓丸外野手(24)が、値千金の適時打を放った。この日、巨人入団後、初めて出場選手登録されると、2点を追う9回1死一、二塁、緊迫の場面で呼ばれた。「緊張はあったけど、気持ちを強く持った」。DeNA守護神三嶋の2球目スライダーを一振りで捉えた。1点差に迫る中前適時打でプロ初打点。一塁上で右手を力強く突き上げた。「気持ちで打ちました! やっと巨人の一員になれた気持ちです。本当にうれしい」とかみしめた。

やっと、報われた。プロ7年目。19年オフに楽天から戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトの末、巨人と育成契約を結んだ。今年2月の春季キャンプで「超積極的打法」が評価され、支配下契約を勝ち取った。イースタン・リーグでチーム最多の86試合に出場も、1軍にはこの日まで呼ばれず。2軍にすら出場できず、年下ばかりの3軍調整を強いられる時期もあった。「拾っていただいて、なかなか支配下になっても上がれなくて、悔しい気持ちでやってきた。結果が出て、すごくうれしい」。巡ってきた千載一遇のチャンスを「超積極的」な姿勢でがっちりものにした。

原監督も「ヤオマル…ヤオマルって僕は言っちゃうんだけど(笑い)、非常に大きな一打でしたね」と称賛。「まだまだ若いし、彼は洋々と未来が開けていると思います」と大いなる可能性に期待を込めた。【小早川宗一郎】