これぞ巨人の4番の仕事だ。3点ビハインドの3回、岡本和真内野手(25)が打者一巡の猛攻を呼び込む38号同点3ラン。劣勢ムードを振り払い、同日に37号を放ったヤクルト村上をすぐさま引き離した。同点にされた直後の9回には、1死二塁から中前打で好機を拡大。2位阪神相手にサヨナラ勝ちとはならなかったが、4番が打線を活性化させながら存在感を示した。

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高く舞い上がった打球から目を切った。岡本和が確信した。3点を追う3回2死一、二塁、阪神西勇の初球フォークをかち上げた。貫禄の“確信歩き”で歩みを進めた。バックスクリーンへ、自己最多を更新する38号3ラン。序盤から3点をリードされる、重たい雰囲気を切り裂いた。「なんとかランナーをかえしたかったので、ホームランになって良かった」と、ベンチ前で表情を崩し、わっしょいポーズを披露した。

「伝統の一戦」のカード頭で流れを引き戻す豪快な一撃を見舞った。本塁打王争いで、ヤクルト村上に並ばれてから約20分で、キングの座に舞い戻った。本塁打と打点で2冠に輝いた昨季、「こういう争いをするのも初めてでしたし、こういう感じなんだなというのも思いました」と、タイトル争いの戸惑いも感じていた。1つの年を越え、25歳には見えない存在感も、にじみ出てきた。

ただ、個人の成績より、チームの勝利を何よりも優先する。プロ通算100号を達成しても、4年連続30アーチをかけても、チームへの貢献を常々口にしてきた。「フォア・ザ・チーム」の精神を追求することで、自然と道は開けてくる。

2年連続で打撃2冠を達成すれば、球団では76、77年の王貞治氏以来の快挙となる。1試合1試合、1本1本の積み重ねが、優勝へつながっていく。その先で「岡本和真」がレジェンドに肩を並べる未来も見える。【小早川宗一郎】