新人王へ無心-。広島栗林良吏投手(25)が27日、甲子園での阪神3連戦に向けて神戸入りした。26日までのDeNA3連戦では2つのセーブを積み重ね、球団新人新記録となる26セーブをマークした。例年以上にハイレベルな争いとなっている新人王は意識せず、チームのために最後まで投げ続ける。球団記録を塗り替え続ける先に、タイトル獲得が見えてくる。

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チームの勝敗とともに、個人タイトルの争いにも注目が集まる。広島栗林は1年目ながら、42試合で1敗26セーブ、防御率0・43の好成績。DeNA牧やヤクルト奥川、そして対戦を控える阪神3選手とハイレベルな新人王争いは、佳境を迎えている。「みんないい成績を残している。僕は、そこが目標じゃなくて。まずはチームが勝って終われるように。結果的にそれで取れたらいい」。自分でコントロールできるものではない個人タイトルに意識は向けない。守護神として、チームの勝利のために、腕を振るだけだ。

28日から3連戦を戦う阪神には、23本塁打の佐藤輝のほか、中野や伊藤将と新人王を争うライバルたちがいる。「中野は社会人の時も対戦しましたし、対戦が楽しみですけど、(社会人時代は)打たれているので、しっかりと抑えたい」。甲子園では3月10日のオープン戦以来、シーズンでは登板がまだない。「投げられたら楽しいなとは思います」。愛知黎明高時代は無縁だった聖地で、登板機会を待つ。

25日DeNA戦で球団新人最多セーブ記録に並び、翌26日には記録を更新した。今後積み重ねるセーブがすべて球団の歴史となる。また、登板9試合連続セーブ記録は、15年のDeNA山崎に並ぶ新人記録。甲子園初登板は記録がかかる登板となるかもしれない。チームの勝利につながるセーブ数は意識しても、連続セーブ記録には興味を示さない。「自分たちは1戦1戦戦うしかない。(26日DeNA3連戦まで)逆転した試合だとか、いい試合が続いている。その流れで入って、自分も抑えられたらいい」。たとえ引き分けであろうと、セーブが記録されない4点差以上であろうと、チームのために腕を振る。周囲が個人記録に注目しても、新人守護神は最後まで自分のスタイルを貫き通す。【前原淳】

◆新人王の資格 支配下選手に初登録後5年以内で、前年までの通算成績が投手は30イニング以内、打者は60打席以内の選手。プロ野球担当記者の投票でセ・パ各リーグから選出され、賞金は100万円。栗林や阪神佐藤輝ら1年目の選手だけでなく、2年目のヤクルト奥川らも有資格者。昨年の受賞者はセが1年目の広島森下、パは3年目の西武平良だった。