2位阪神がメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の先制決勝の7号2ランで3度目の5連勝を決め、3年連続のAクラスとクライマックスシリーズ(CS)進出を確定させた。1ゲーム差で追う首位ヤクルトも5連勝でCS進出を決め、両チームは7試合連続で同じ星取りのデッドヒート。矢野阪神は7日も勝って、好調右腕奥川の先陣が予想される8日からの神宮直接対決3連戦に弾みをつけたい。

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電光掲示板上の球団旗が、左翼方向へ強くなびいていた。0-0の4回1死一塁。ロハスが大貫の137キロカットボールをすくい上げると、打球は逆風の右中間上空へ高く舞った。スタンド最上段に着弾。ベンチ前では「虎メダル」を胸に、大山にポンポンっと頭をたたかれ笑顔がはじけた。

「勝ちに貢献するために来ているし、それが仕事。結果的に大きな点になったので非常に満足しているよ」。9月8日ヤクルト戦以来、約1カ月ぶりの先制&決勝7号2ラン。2日に1軍再昇格後、6打席目で飛び出した初安打が、値千金の一打になり、3試合ぶりのスタメン起用に応えた。

9月22日に出場選手登録を抹消。再びの2軍生活では、平野2軍打撃コーチが寄り添ってくれた。「本当に気にかけてくださって…。気持ちの面で助けていただいたし、平野さんのためにも良い結果が出てうれしいね」。平野コーチは助っ人とのやりとりに「企業秘密だよ」とニヤリ。鳴尾浜でもモチベーションを落とさせない。二人三脚の再昇格ロードが、実を結んだ。

あとにも先にも得点はこの2点だけ。助っ人の千金弾で関東遠征9番勝負の2戦目を取り、今季3度目の5連勝で3年連続のAクラスとCS進出を決めた。連勝中、5番までが固定される一方、6番以降は4度組み替え。前日5日は佐藤輝に適時打が飛び出し、この日はロハス。優勝争いの最終盤で、日替わりヒーローが打線を支える。矢野監督は「結果的には勝ちゃあ、何でもいいんだけど、明日は打線も奮起してほしい」と爆発に期待を込めた。

両リーグ70勝一番乗りも、直近7試合は首位ヤクルトと同じ星取りが続き、ゲーム差は1のまま並走。どう猛な虎が、食らいついて1戦1戦を戦っている。

矢野監督 みんな必死やし、ヤクルトもずっと負けないんで、目の前の1試合を勝つしかないんでね。苦しい中でも何とか勝てているというのは本当、何とかつなげられるものをみんなでつくってくれている。

8日から戦うヤクルトとの神宮決戦は、初戦に今季4試合で防御率2・16と抑え込まれている奥川の先発が濃厚だ。好調右腕を打ち崩して先勝するべく、7日もDeNAに勝って弾みをつけたい。【中野椋】

▼07年にセ・リーグもCSを採用して以降、阪神の出場は9度目。昨年はCS開催がなかったため、19年までのセ球団の進出最多は巨人の12度。阪神はこれに次ぐ回数だ。

▼阪神は最短8日に今季の自力優勝が消滅する危機は変わらない。阪神が7日DeNA戦に敗れ、ヤクルトが巨人戦で勝つか引き分けると、8日の直接対決でヤクルトが勝てばマジック11、引き分ければ12が点灯するなど複数のケースがある。また、7日に両軍が勝っても、直接対決でヤクルトが勝てばマジック12が点灯する。