ローテの柱として、意地を見せた。阪神西勇輝投手(30)が6回を7安打無失点に抑える好投で、約1カ月ぶりの6勝目。チームの3年連続AクラスとCS進出に大きく貢献した。

「自分が今まで全然…力になれていなかったので、なんとかチームに貢献できるようにと思い、マウンドに上がっていました。なんとか本当に勝てて良かった」

再三のピンチにも粘り負けなかった。2点の援護を受けた直後の4回。先頭から連打を浴びて無死二、三塁と絶体絶命の場面。「死ぬ気で投げていましたし、なんとかゼロでという思いで。見ている人全員がもう2点取られるだろうなという雰囲気だったので、逆手にとって気持ちで投げていきました」。迎えた宮崎は痛烈な当たりも、マルテが好捕して一ゴロ。続くソトをスライダーで投ゴロに打ち取って、三塁走者の楠本を挟殺すると、最後は大和を左飛に仕留めた。向かっていく気迫で0を刻んだ。

昨季チームトップタイ11勝を挙げた右腕も、今季は苦しい時期が続いていた。6月下旬から一時は自己ワースト6連敗。今季最短3回5失点で降板した9月24日巨人戦の後には、矢野監督と約30分間の話し合いの場を持ったこともあった。

それでも先発ローテーションを外れたのは、首の寝違え症状で出場選手登録を抹消された9月中旬の1度だけ。右腕は模索し、指揮官はずっと信じていた。「あいつも悔しい思いをしてるから。調整の中でも必死になんとか、パターンを変えてみたりとか、いろんなことにも挑戦して、もがこうとしている気持ちがそうなったんじゃないかな」。矢野監督の思いに、やっと応えることができた。

「普段はもっといろいろな考えを持って投げていますが、今日は死にものぐるいで投げた結果が0点という結果でよかった」。優勝争いのヤマ場。底力を見せた。【磯綾乃】