“ほぼ月間MVP男”の楽天滝中瞭太投手(26)が、自身初の2桁勝利へ王手をかけた。ソフトバンク打線を6回6安打無失点に抑え、自身4連勝で9勝目。4位ソフトバンクに4ゲーム差とし、2年ぶりのCS進出を引き寄せた2年目右腕は「1試合1試合最後だと思って投げてきた結果です」と汗をぬぐった。

“ほぼ由伸級”だ。9月は4戦3勝、防御率0・74をマーク。9月の月間MVPを受賞したオリックス山本は4戦4勝、防御率0・90で、滝中は防御率で上回った。後半戦は6戦4勝、防御率1・05と抜群の安定感。10勝の則本昂に次ぎ、9勝は早川と並びチーム2位タイ。「開幕した時はそこまで勝てるとは思ってなかった」と驚くも「勝ちを意識しないといったらウソ。自分にできることを100%やった結果でついてくれれば」と貪欲だ。

思わぬエール? も背中を押す。1度の指名漏れを経て19年ドラフト6位で入団。1年目の昨季は2勝を挙げ、活躍を報じる新聞記事を両親が滋賀の実家で大事に飾ってくれていた。だが年が明けると跡形もなく片付けられていた。「1勝挙げるのは大変なのに…」。活躍ぶりを届けるためにも腕を振り、あれよあれよと2桁が見えてきた。

チームはこの日敗れた首位オリックスに4・5ゲーム差と縮めた。滝中は開幕当初は田中将、岸、涌井、則本昂、早川に次ぐ“第6の男”だったが、今や欠かせない存在。「身の丈にあった投球をしたい」と口ぶりにも頼もしさがにじみ始めた右腕が、逆転優勝への望みをつなげた。【桑原幹久】

楽天石井GM兼監督(9勝目を挙げた滝中に)「滝中の投球が終盤に得点できた要因。悪いところを見つける必要もないので、ナイスピッチングでした」