「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が11日、都内で開かれ、史上初めて同一高校のバッテリーがそろって1位指名を受けた。市和歌山の最速152キロ右腕、小園健太投手(3年)と高校通算43本塁打の松川虎生(こう)捕手(3年)で、小園は阪神と競合の末にDeNAが、松川はロッテが交渉権を獲得。中学時代に全国制覇したバッテリーは6年間のコンビを解消し、互いにプロで活躍し、侍ジャパンでの夢タッグを目指す。

その瞬間はすぐに訪れた。まず小園がDeNAと阪神から1位指名を受け、間髪入れず松川もロッテから指名された。松川は「小園はうれしい表情でグータッチしてくれた」と喜び、2人は会見で「本当にホッとしています」と声をそろえた。同じ高校からバッテリーが1位指名されたのは史上初。DeNAが交渉権を獲得した小園が「史上初は本当にうれしいし、虎生と一緒にプロ野球選手になれたことはうれしい」と言えば、松川は「1位で選んでいただけると思わなかった。ここからが本当に勝負」と覚悟を口にした。

DeNAの印象について小園は「投手も打者もバランスがとれて総合力が高いチームだと思う」。一方、ロッテファンを公言する松川は「総合力が高くて、ここぞで力を発揮できるチーム。ファンの皆さんの応援が素晴らしい。すごく好きな球団」とアピールした。

中学時代は貝塚ヤング(大阪)でバッテリーを組んで全国優勝。市和歌山には松川が「一緒に甲子園に行こう」と小園を誘い、今春のセンバツで夢がかなった。初戦の県岐阜商戦で4安打完封サヨナラ勝ちを飾り、甲子園で校歌を一緒に歌ったのが一番の思い出だ。汗と涙をともに流した6年間のコンビは、プロ入りすれば一時解消となる。

2人は以前からプロでの対戦を熱望していた。小園が「しっかり勝ちたい。何を投げるか内緒で」と言えば、松川は「持ち味の真っすぐをバックスクリーンまで飛ばします」と笑わせた。個人目標も具体的に挙げた。小園は「最優秀防御率を取りたい。先発としてシーズン20勝、通算で200勝したい」。松川は「ホームラン王になりたい。打てる捕手はずっと意識しています。城島(健司)さんのようになりたい」と力強かった。

2人にはでっかい夢がある。小園は「球界を代表するエースになりたい」と言い、松川は「いつか日本代表でバッテリーを組みたい」。中学、高校の相棒が一緒に日の丸を背負うまで、これからはライバルとして高めあう。【林亮佑】

◆同一高校から1位2人 市和歌山は小園投手がDeNA、松川捕手がロッテから1位指名。同一高校から1位指名2人は最多タイで、18年大阪桐蔭の根尾昂(中日)藤原恭大(ロッテ)以来9度目。バッテリーは史上初めて。公立高校は84年箕島の嶋田章弘(阪神)杉本正志(広島)以来、37年ぶり2度目。

◆同一チームバッテリーの1位指名 13年日本生命の柿田裕太投手(DeNA)小林誠司捕手(巨人)以来、7組目。