巨人亀井善行外野手(39)が今季限りで現役を引退することが分かった。今日21日にも球団から正式発表される。上宮太子高から中大を経て、04年ドラフト4位で巨人入り。今季でプロ17年目のベテランがバットを置く。喜怒哀楽を隠さず、素を貫く、コテコテの野球人だった。印象的なシーンを当時の記事で振り返る。

【涙のサヨナラ3ラン(17年6月18日、ロッテ戦=東京ドーム)】

涙で目の前がぼやけた。打球の行方も分からない。ただ手に残る感触から、試合を決めたことは分かった。1点差に迫った延長12回1死一、二塁で、今季1号となるサヨナラ3ラン。泣きじゃくりながらベースを一周した。本塁上でもみくちゃにされた先には、笑顔の高橋監督が。泣きながら胸に飛び込んだ。「よくやったな」の声に涙腺が決壊した。「もう覚えていないんですけど本当に。心が折れていたので…。奇跡としか言いようがないです」。

途中出場で屈辱的な光景を3度も見せられた。チャンスで前打者マギーが3打席連続で敬遠され凡退。2度目はベンチで道具を投げつけた。だが、天才打者といわれた高橋監督の現役時代さながらの冷静さも持ち合わせていた。自主トレ、行動を共にし学んだ。

「壁に当たろうが、いつも全力。70~80%じゃだめ。かっこいいだけじゃないんですよ」。自分の力を発揮することだけに集中する重要性を教わった。だから最後はマン振りせず、大嶺祐のフォークを拾い上げられた。

お立ち台では「最後、打てなかったら命を取られると思って…それぐらいの気持ちで行きました。チャンスをつぶしていたので負けたら全部僕の責任と思っていた。神様がいてくれた」と目尻を光らせながら笑う亀井の姿を、高橋監督も「チームを救ってくれた。やっぱり力のある選手。劇的な勝ち方。思い出に残る」と記憶にしっかりと刻んだ。

~チームメートの声~

◆巨人マギー(3打席連続敬遠に)「最後だけでなく、最初の2つの敬遠も亀井が何とかしてくれる確信があった。彼も感極まっていたし、直接肌に触れて、たたえる。それしかできないよ」

◆巨人坂本勇(2点を追う延長12回に適時二塁打)「2点差あったけど、辻が先頭でよく出てくれた。さすが亀井さんです」

◆巨人辻(延長12回無死では四球で出塁しサヨナラ勝利を演出)「亀井さんにマジで鳥肌が立ちました」