オリックス吉田正尚外野手が、不屈の闘志で日本シリーズ進出に貢献した。右尺骨骨折から1カ月少々での戦列復帰。この日は3打数無安打だったが、1戦目に1本、2戦目に2本の安打を刻み、不動の3番として役目を果たした。

シーズン終盤の10月2日ソフトバンク戦で右手首付近に死球が直撃した。悪夢の骨折から回復に努めてきたが万全ではない。毎朝、起きたとき、患部の状態を気にしてきた。「朝が一番分かりやすい。そのなかでプレーできる。悪くならない判断での出場」と明かした。試合時は痛み止めも処方されながら、傷が癒えてなくても全力を尽くした。

試合前の打撃練習ではセンターから逆方向にライナーを連発。最短のスイング軌道で白球をとらえ、感覚を確かめる。「自分が思い描くようなスイング、打球とはほど遠い。やれる範囲で出し切っている」。球界随一のバットさばきでロッテ投手陣の脅威になった。

気迫の強行出場だ。「11月10日ファイナル。自分の中で逆算、イメージしながら準備を心がけてきた」と振り返った。「日本一、ここまで来たらとりたい」。守備に就く準備も整え、自身初の頂点に挑む。【酒井俊作】

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