オリックスが「SMBC日本シリーズ2021」第3戦で痛恨の逆転負けで、ヤクルトに2連敗した。

2点を追う6回に本塁打王・杉本裕太郎外野手(30)がシリーズ初アーチとなる一時同点の2ラン。7回には吉田正尚外野手(28)が一時勝ち越し打を放つなど、3、4番コンビの奮起で勝利への夢を見させた。この敗戦で、オリックスが日本一の場合は神戸での胴上げとなった。まずは第4戦に勝って、土俵中央に押し戻したい。

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オリックス吉田正は、日本シリーズ初マルチとなる2本の二塁打に手応えを口にした。「最初、チャンスで三振して『ノー感じ』かなと思ったんですけど、何とか修正できた。1打席1打席切り替えて」。

1-3と勝ち越され、円陣を組んだ6回の先頭で左中間二塁打。直後、杉本の同点2ランが出た。7回は2死一、二塁で左腕田口のスライダーに手を伸ばし「泥臭く、何でもいいので点が入れば」と左翼線に落とす一時勝ち越し打。シーズン通算打率が3割6分7厘と好相性の東京ドームで、バットさばきが光った。

右尺骨の骨折から復帰してまだ2週間。打席では苦心を重ねる。最初の2打席は小川のフォークに体勢を大きく崩され、連続の空振り三振。今季わずか26三振の首位打者らしくないシーンに「同じ球でやられるというのはあまりよろしくない」。本調子でなくてもここぞで結果を出している。

この日、9月3日以来となる左翼守備にも就いた。打球は飛んで来なかったが5回、三塁の宗が二塁送球を途中でやめて引っかけた球が左翼へ転々。素早く拾いに走った。「びっくり。何が起こるか分からないから球から目を離したらいけない。野球の鉄則です」。穏やかな表情で、次戦に切り替えた。【柏原誠】