ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一となった。

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個性を解き放った扇の要が、ヤクルトを支えた。中村悠平捕手(31)はシリーズ全試合でマスクをかぶり、打率3割1分8厘、チーム防御率2・09と攻守に貢献した。その輝かしい結果の裏に、遊び心があった。後半戦から、ユニホームのズボンの裾を絞ったスタイルで試合に臨んだ。「メジャーの選手がよく絞っているのを見て、かっこいいじゃないが、いいアクセントになったらみたいな感じ」と笑う。

昨季までは、どちらかと言えば淡々と自分の感情を出さない方だった。変化のきっかけは春季キャンプ。古田敦也臨時コーチから「捕手で勝て」とたたきこまれた。「その言葉があって、勝ったときとか殊勲打を打ったときは自分がなんとかしたという気持ちを例年に増して感じるようになった」。自然とガッツポーズが出てきた。

日本シリーズ第3戦、“本拠地”東京ドームで迎えた第3打席は、登場曲をTUBEの「恋してムーチョ」に変更した。15年にも使用した、自身の愛称である「ムーチョ」にちなんだ曲でファンを沸かせた。

真剣勝負は当たり前。一方で、イレ込みすぎるのも良くない。自然体で挑む。「自分のリードにちょっとした遊び心が必要じゃないかと。あとは自分の個性。自分がどうしたいかというのがあった」。新たな“らしさ”を見つけた先に、日本一があった。【ヤクルト担当=湯本勝大】

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◆中村悠平(なかむら・ゆうへい)1990年(平2)6月17日、福井県生まれ。福井商で甲子園2度出場。08年ドラフト3位でヤクルト入団。15年に自己最多の136試合に出場し、チームのリーグ優勝に貢献。同年ベストナイン、ゴールデングラブ賞。今季から背番号を52から2に変更。今季推定年俸9000万円。176センチ、83キロ。右投げ右打ち。