気迫の113球も東京ドーム“公式戦デビュー”での勝利とはならなかった。

巨人ドラフト2位のJR東日本・山田龍聖投手(21=高岡商)が、先発として、都市対抗野球初登板。「すごく緊張しましたし、わくわくしました」という大舞台だったが、同点の8回に決勝点を献上し、7回2/3を7安打3失点で社会人野球を終えた。

気迫の投球は存分に見せた。巨人原辰徳監督(63)、水野雄仁スカウト部長(56)が見守る中、2者連続三振で幕開け。強気の投球で「よっしゃー!」と絶叫し、感情を前面に押し出した。「走ってましたし、精度もよく投げられていた」という直球はこの日最速149キロをマークした。100球を超えても148キロを記録。10三振のうち、8三振は直球で奪った。「JR東日本でやる最後の大会だった。日本一を目指してやってきていたので、勝ちたいという気持ちでやっていた」。攻めの姿勢を貫き、何度も雄たけびを上げた。

気合の投球も、わずかに踏ん張りきれなかった。「状態は悪くなかったけど、最後の最後、ホンダ熊本の片山選手が抑えた次のイニングで踏ん張れなかった。決勝点になったので悔しいです」。味方が無死二、三塁のチャンスで無得点に終わった直後の8回。四球と安打で2死一、三塁。代打持永に外角低め147キロ直球を左前に運ばれ、勝ち越しを許して降板した。

JR東日本の浜岡武明監督(49)は「打線の方が援護しきれなかったので、彼は責められないかなと思います。違うステージで頑張って欲しい」とメッセージを送った。山田も3年間を振り返って言った。「体も、心も、技術も高校から入ってきたときに比べたら変わったと思う。次のステージでも生かしていけるようにやっていきたい」。JR東日本での経験を財産に、プロの世界に乗り込む。【小早川宗一郎】