ライバルが恐れる「エリア5」だ。NPBの守備のベストナインを選ぶ三井ゴールデン・グラブ賞が2日、発表され、阪神近本光司外野手(27)がプロ3年目で初めて受賞した。
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中堅で140試合に出場しリーグ2位の264刺殺、同3位の守備率9割9分6厘。俊足を生かした広い守備範囲での好捕が光った。阪神の外野手では15年福留(現中日)以来6年ぶりの選出となった。
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前に後ろに左右に。今季の近本の中堅守備に死角はなかった。3年目で初のゴールデングラブ賞。「プロ入りから筒井コーチと一緒に目指してきた賞でもあるので、初めて受賞することができて素直にうれしいです」。実直な近本らしく、真っ先に指導してくれた筒井コーチの名前を挙げて喜んだ。
真骨頂は10月9日ヤクルト戦(神宮)。快足を生かし、オスナの中堅左への大飛球をフェンス際でジャンプ一番の好捕。初回2死一、二塁のピンチを脱し勝利に導いた。チームでは阪神、日本ハムで計10度受賞した新庄、6度受賞の赤星ら歴代の名手にも劣らない守備範囲で、フェンス激突を恐れないタフなメンタルを持つ。かつてイチロー氏が「エリア51」と称されたように、打球が飛べば終わりの「エリア5」は他球団の脅威となった。
浜風が吹く本拠地甲子園の攻略は、決して容易ではない。試合前練習ではフリー打撃の打球を捕って風、芝生、中堅から見える景色の確認を怠らなかった。好プレー後には「いつも通り落ち着いて、ボールのラインを見られていました」と、当たり前のように言ってきた。主に右翼を守った佐藤輝は「試合中もポジションを指示してくれたり、コミュニケーションを取ってくれます。準備が大切だと思うので、そこがすごいところです」と感謝する。目配り気配りで、外国人選手と新人が就くことが多かった両翼をカバーしてきた。
今回、セでは広島鈴木誠に次ぐ210票を集め勲章を手にした。失策数は、1年目4個→2年目3個→3年目1個と着実に減少。リーグ2位の264刺殺、同3位の守備率9割9分6厘と成長は数字に表れた。阪神の外野手で無失策は68年以降わずか7人で新庄も達成しておらず、来季の近本が求めていく数字だろう。「走攻守でチームに貢献するのが自分のプレースタイルですし、これを励みに、来年からも続けて選んでいただけるような選手になれるように、しっかり頑張っていきたいと思います」。今季初の最多安打に輝いたバットマンは、華麗な守備でもファンを魅了する。【中野椋】
○…失策数とは違う視点で守備力を見る「レンジファクター(RF)」という指標がある。選手が1試合あたりいくつのアウトに関与したかを示す数値で、守備範囲の広い選手ほど大きくなる傾向にある。刺殺と補殺の合計を出場試合数で割る簡易RFで見てみると、今季の近本は1・91。阪神外野手のゴールデングラブ賞受賞者では7度の新庄は毎回2を超え、6度の赤星も2回2を超えた。近本は来季さらに守備範囲を広げ、数値を上げられるか。



