「幻のバット」で来季に挑む。巨人岡本和真内野手(25)が12日、来季の新バット導入を示唆した。ジャイアンツ球場での自主トレ後に今オフの取り組みについて「バットは長くしました。3半(33・5インチ=85・09センチ)から34(34インチ=86・36センチ)にしました」と明かした。巨人では坂本、球界ではヤクルト川端、中日大島らが愛用する長さのバットで打撃に磨きをかける。

今季の“忘れ物”がバットに込められている。11月12日のヤクルトとのCSファイナルステージ第3戦。左脇腹痛で欠場が続く中、試合前練習でフリー打撃を再開した。余計な力感を省いたゆったりとしたスイングを久々に披露した時に手にしていたのが34インチの新バットだった。最終的にCSでの出場はかなわず、終戦後は「最後にチームに迷惑をかけてしまった。その気持ちを忘れずに来年につなげたい」と吐露。悔しさと同時に、フリー打撃でつかんだ新バットの好感触も忘れずに来季につなげる。

バットの長さを1・27センチ伸ばすことは技術向上を意味する。バットを提供するSSK社の担当者は日刊スポーツの取材に「長くなれば当然ですが、より遠心力を使えるようになる。一方で扱うのは難しくなります。技術がそれだけ上がってきた確信があったのでは」と説明した。重さは現在の890グラムを継続するため、長くなった分は先端をくりぬいて重量を調整する。2年連続でセ・リーグの本塁打王と打点王に輝いた主砲が、新相棒を手なずける。【為田聡史】