阪神は19日、来季のスローガンが「イチにカケル!」に決定したと発表した。最終的に優勝して1番になることなど、あらゆる「イチ」にこだわり、その思いを「カケル」。今季セ界最多の77勝を挙げながら、勝率でヤクルトに優勝を譲った矢野タイガース。力強い新スローガンを掲げて、来季こそ17年ぶりリーグVをつかみ取る。

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躍動感のある筆致で書き込まれた文字には、幾多の思いが詰まっていた。力説するのは矢野監督だ。「『イチ』には、1球、一打、一瞬にこだわって、僕たちはやっていこうという思いとONE TEAM、もう1勝、そして一番上(優勝)へという思いも込めています」。指揮官を中心にコーチ、選手、裏方スタッフ、球団職員を巻き込んで意見を集約。22年シーズンの新スローガンが決定した。

悔しさを力に変える。今季はシーズン開幕からトップを快走したが、歴史的なハイペースで白星を積み上げたヤクルトに逆転され、優勝を奪われた。勝率はわずか5厘差。勝負にタラレバは禁句だが、「もう1勝」していれば、歓喜の瞬間を迎えることができた。あらゆる「イチ」を意識して積み上げ、あと1歩足りなかった優勝チームとの差を埋める。中でも「もう1勝」に、同じ轍(てつ)は踏まない覚悟が見える。

「カケル」にも思いを込めた。矢野監督は「あえてカタカナにすることでいろんなカケルになる」と説明した。懸ける、駆ける、架ける…。その意味は無限大に広がる。ロゴマークの中で「イ」と「チ」の間に「1」にも「ノ」にも読める赤文字を入れて「1」を強調。「イノチにカケル」とも読める。また最後の「ル」も「心」と読めるように細やかな工夫が施された。

さっそく反応したのは佐藤輝だ。若き大砲は思案しつつ「1打席目しっかり打つことができれば、残りの打席も気持ちに余裕が持てる。その試合のできを決めのが1打席目」とイチを意識。矢野監督は「飾りのスローガンではない。そこに手応えと自信を持っています。イチしかないんでね。デッカい1番を取りにいきます」と宣言した。指揮官にとっても勝負の4年目。目指すは1番しかない。【桝井聡】