東京6大学リーグ4年生の進路がほぼ出そろった。東大・高橋佑太郎内野手(4年=武蔵)は、四国IL・高知でプレーを続ける。神宮デビューは4年春で、通算9試合9打席で1安打のみ。反響を呼んだ進路選択は、ぶれない信念からだった。

坂本龍馬の名言がある。

「世の人は我を何とも言わば言え。我なす事は我のみぞ知る」

高橋は「そういう生き方にしていきたいなと、ずっと思ってます」と迷いのない目で言った。卒業後、龍馬の故郷でプレーを続ける。トライアウトをへて、高知への入団が決まった。

東大生が独立リーガーに-。意外な進路に取材が続き「こんなに反響があるとは」と自分でも驚いた。周りは応援してくれた。もっといい就職先が、なんて声は聞かない。寮費、光熱費、年金を差し引くと、月およそ7万円でのやりくり生活が待つが「1日1日、充実した日を送れています。それが継続できる喜びを感じてます」と来年1月の高知入りが待ち切れない。後輩たちに交じり、東大球場でトレーニングを続ける。

志望のわけは、ぶれない信念からだ。「1日が終わったとき、その日をやり切ったと満足できる生活を送りたい」と考えてきた。何をすれば、そう感じられるのか? 答えは、すぐに出た。「野球」だ。就職活動は、2社にエントリーシートを出しただけで打ち切った。現役引退後も、独立リーグの運営などに関わりたい希望がある。「自己満足かも知れませんが、日本の野球界に貢献したい」。だから、まずはプレーする。戸惑う両親も、思いを伝えたら納得してくれた。

一日一生-。高校時代の友人が、大学2年の時に亡くなった。「突然でした。人の一生って、すぐ終わっちゃうんだと」。生きる意味を考えた。後悔しないために。だから、プロ1年目の目標は「その1打席で終わってもいいぐらいの気持ちでやること」。ぶれずに生きていく。【古川真弥】

◆高橋佑太郎(たかはし・ゆうたろう)1999年(平11)10月4日生まれ、東京・調布市出身。小1の時、調布メンパースで野球を始める。武蔵中から武蔵へ進み1年夏からレギュラー。甲子園出場なし。東大経済学部。4年春でリーグ戦デビュー。通算9試合で9打数1安打。50メートル走6秒6。遠投90メートル。172センチ、72キロ。右投げ右打ち。