日本ハム上沢直之投手(27)が「改革」の1年に挑む。昨年チーム最多12勝を挙げた先発の大黒柱。現時点で15~16年の大谷翔平投手(27=エンゼルス)以来となる2年連続の開幕投手に、最も近い。今年の1字に選んだのは「革」。新庄剛志監督(49)を迎え、チームが大きく変わる2022年。絶対エースの道を歩む右腕に、今季へ懸ける思いを聞いた。【取材・構成=中島宙恵】

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-今年の1字に「革」を選んだ

上沢 やっぱり、これでしょ。監督が新庄さんに代わって、チームも大きく変わるでしょうし、僕も変わらないといけないと思うので。

-春季キャンプ中に行われるオープン戦初戦(2月26日DeNA戦)では、BIGBOSSから“監督”に指名された

チームが勝てる状況を作るためにスタメンを考えることは、これまでなかった経験。新しい気付きがあるかもしれない。どうなるのか楽しみです。

-サービス精神が旺盛。契約更改で見せたサングラス姿にはBIGBOSSも「カッコいいじゃない!」と大絶賛だった

上沢 自分では、全然似合ってないと思ったんですけど。僕はカメラマンに言われるがまま、かけただけです(笑い)。普段はかけませんよ。でも今年は移動中くらいなら、かけてもいいかな。まぶしい時にも寝られるし(笑い)。

-昨年11月のファンフェスでは会場を盛り上げようとしていた姿が印象的

上沢 せっかくファンの方が見に来ているので、何かしようと(笑い)。プロ野球はエンターテインメント。また見に行きたいという人が、1人でも増えてくれたらと思って。プレーだけで人が集まるような、スター性がある選手なら別ですが。2~3年前から、そういうことを考えるようになりました。パフォーマンスには、ファンサービスという面だけでなく、自分のプレーにプレッシャーをかけるという意味もあります。

-変化と言えば、昨季途中に家族で札幌へ移住し環境も変わった

上沢 札幌ドームまで自家用車で行けるので、良い気分転換になります。自分の時間というか、いろいろ考える時間が出来ました。運転中も自然が多くて、気分が落ち着く。よく近所の公園を散歩しますが、雪がない時期の北海道はすごくいい。家族も時間がある時は、応援に来られるようになったし。ただ、僕が投げている時、2歳の長女の泣き声が、たまに聞こえるんです。「あっ、聞いた事ある泣き声だな」って気になっちゃう(笑い)。

-ドラフト6位入団から、エースと呼ばれるまでに。心掛けていたことは

上沢 飛び抜けた成績を残す人たちと自分を比較しても、仕方がない。僕は僕にしか出来ない抑え方を、常に模索していた。160キロ近い真っすぐを投げられたら楽だなと思うけど、僕にはその才能がなかった。平均的なボールで、いかに抑えるか。「何か絶対あるはず」と。あれこれ考えるのが好きなタイプなので。トライアンドエラーを繰り返して、今がある。プロ入り当初は、高校時代に通用していたことが全然、通用しなくてショックだったし、びっくりしましたけど。

-同期組(近藤、松本剛、巨人石川)の存在も大きかった

上沢 いなかったら、僕はきっと野球を続けていなかった。野球に取り組む姿勢を見習って、彼らに引っ張られて、ここまで来た。この関係は、引退しても続くと思う。大人になって、昔みたいなじゃれ合いはなくなりましたけど、常にリスペクトの気持ちはあります。

-昨年は防御率2点台という目標をクリア(2・81)。今年は

上沢 2点台前半。1点台は普通に考えてヤバイですよ。無理ッス。無理無理無理(笑い)。2点台前半で終われるって、なかなかすごいんですよ? 2・30ぐらいを、まずは目標にしたいです。

◆上沢“監督”が誕生するまで

新庄監督は新監督就任が決まると、昨年11月25日にツイッターで「オープン戦で選手達でオーダー 監督を決め どうやって勝つのかを自分達で考えさせるプランを考えてます」(原文まま)と発信しプランを明かしていた。すると12月6日に「オープン戦 初戦の試合を 上沢監督でオーダーを組んでもらい戦ってもらいます」(原文まま)と発信し、エース右腕を指名した。上沢は同8日の契約更改後に「チームのことを知る、いい機会。僕がやられてイヤなことを、試合でできるようなスタメンにしたい」と意欲を見せた。

◆ファンフェスティバル(21年11月30日、札幌ドーム)

上沢が最も活躍した人「KNP」に輝いた。投手陣による「ナイトグラブス」のキャプテンとして、競技中に個性的なダンスとレインボーのアフロを被り盛り上げた。景品としてフェラーリ1年間乗り放題券が贈られ、「ボンジョールノー!」と絶叫した。