マー君流で開幕投手&15勝&沢村賞!!阪神青柳晃洋投手(28)が13日、兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で自主トレを公開。昨季最多勝と最高勝率の2冠に輝いた裏に、東京五輪で侍ジャパンの同僚だった楽天田中将大投手(33)の金言があったことを明かした。球界のエースから学んだ極意をシーズン通して生かし、虎の「絶対的エース」の称号をつかみ取る。

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青柳は鳴尾浜球場に吹く風速10メートル前後の強風にも動じなかった。「雨柳さん」らしからぬ快晴のグラウンドで、キャッチボールやポール間ダッシュなどを実施。「今はしっかりボールを投げることに重点を置いてやっています」。三塁でゴロ捕球から一塁への送球練習に約30分時間を割くなど、精力的に動いた。

6年目の昨季は最多勝&最高勝率の2冠に輝いた。躍進を遂げた要因の1つに、東京五輪で侍ジャパンのチームメートだった楽天田中将の存在があった。青柳は先発の登板2日前にブルペンで投球練習を行う。「どういう意識でやってますか」と聞くと、「その週の自分の体を確かめるためにやっている」と返ってきた。田中将はヤンキース時代に中4日の登板間隔で先発していた。「体がしんどいなという時でも投げないといけない状況がたくさんあったらしいのですが、その時の状況を知るためのピッチングだ、と話していた」と青柳はかみしめるように言った。

先発の柱として、1年間投げるための極意だ。変則右腕はこれまで「2日前はいいボールを投げようと思ってずっとやっていた」という。田中将の金言に目からうろこが落ちる思いだった。「素晴らしい選手はそういうふうな意識でやっているんだな。一番勉強になりましたし、後半戦でもすごく生きてきた言葉だった」と実感。後半戦で5勝を挙げ、自身初のタイトル獲得につなげた。

オフは昨季の課題だった「フォームの再現性」を高めることに重きを置く。後半戦で1カ月勝てなかった時期などの自身の投球フォーム映像をチェック。疲労などで上体の抑えが利かず「体と手の距離が離れてしまうので、体が開いている状態になっていた」と分析した。改善するため、日々のトレーニングに取り組んでいる。

今季のチームスローガン「イチにカケル!」に重ね、「1試合目で先発できるようにという“イチ”を目指していきたい」と開幕投手へあらためて名乗り。15勝を目標に「どんな賞でも取ってみたい。取れたらいいな」と沢村賞獲得へも意欲を示した。球界のエースから得た金言を胸に、今季もチームの大黒柱として突っ走る。【古財稜明】

○…青柳は今年の正月のおみくじが「半吉」だったことを明かした。祖母の実家の近所にあるという兵庫・神戸市の「多井畑厄除八幡宮」に初詣に行くのが毎年恒例。「大吉」より引く確率が少ないと言われる出現率5%の“珍くじ”を引き当てた右腕は「去年は大吉でまあまあよかったんですけど、ちょっと半吉はなんか中途半端な感じ」と苦笑い。「(引く)確率が低いのはいいとして、順位があんまりよくなかったので、順位を上げていきたい」と“巻き返し”を誓った。

▼青柳は昨季、13勝で最多勝、6割8分4厘で勝率第1位の2冠に輝いた。阪神の沢村賞投手は、過去6人(8度)いるが、03年の井川慶を最後に出ていない。沢村賞の選考基準は(1)15勝(2)150奪三振(3)10完投(4)防御率2・50(5)投球回200以上(6)登板25(7)勝率6割以上。昨季の沢村賞投手・山本由伸(オリックス)は5項目をクリア。昨季の青柳は(4)、(6)、(7)の3項目を満たした。今季は勝ち星などもクリアしたいところだ。

▼今季、青柳が15勝以上すれば、阪神では05年の下柳剛(15勝3敗)以来17年ぶりとなる。生え抜きでは前記03年井川以来で、生え抜き右腕となれば74年の古沢憲司(15勝10敗)以来48年ぶりになる。