日本ハム新庄剛志監督(49)が「新庄ノート」を執筆した。2月の春季キャンプを間近に控え、ミーティングで選手らに配る門外不出の“マル秘新庄本”を作成したことを明かした。恩師の故野村克也氏にならって「ノムラの考え」ならぬ“新庄式”を、まずはチーム全体に浸透させる。19日は12球団監督会議にオンラインで出席し、監督就任後、初となる対外的な公式行事で各球団監督にあいさつした。

    ◇    ◇    ◇

BIGBOSSが春季キャンプで、新庄流の一手を繰り出す。このたび、選手らに伝えたいことを詰め込んだという「新庄本」が完成。「キャンプに入って、初めてのミーティングの時に配ります。新庄剛志の考えはこうですよ、という本を。発売はしないんですけど。一応、マル秘なんです。皆さんは見られないんですけど、選手と球団スタッフの方たちに渡します」。「自分の考えを引き出した」という本は70~80ページにおよび、全部で400冊ほど用意したことを明かした。

発想の根底には、恩師・野村氏の著書「野村ノート」や野球理論「ノムラの考え」があった。「選手が暇な時、疲れていない時に5ページずつでも読んでもらって、頭に入れてもらって『BIGBOSSはこういう考えで野球をしたいんだ』って分かってもらいたいだけ。この本は『ノムラの考え』と一緒ですかねぇ」。知将として一時代を築いた恩師にならった。仕事の合間を見つけては文章を組み立て、作成に要した時間は約3カ月。「監督就任会見から、ぶっ倒れそうな今日まででしたね」と、満足そうに笑った。

この日は監督就任後、対外的な公式行事としては初となる12球団監督会議に参加し、各チームの監督にあいさつした。いつもよりは控えめに、厳粛な気持ちで臨んだが「(日本ハム本拠地の札幌ドームを除く)11球団の球場を満員にしたいというのが僕の目標なので、対戦する前にいろいろな話題づくりじゃないですけど、ちょっかいをかけてしまうかもしれない。その時は、よろしくお願いしますと伝えました」。これも、新庄流。「やっぱり人生と野球は、人を楽しませるものだと僕は思う」。オンライン参加とあって、各監督の反応は分からなかったが、球界を盛り上げたいという強い思いは、しっかりと届けた。

春季キャンプでは「1軍、2軍とは付けたくない。僕はBIG組とBOSS組で」。レギュラー不在を強調し、日々、選手の自主トレの様子をSNS等を通じてチェックしている。「(選手は)自分のことだけを考えてやって欲しい。皆にチャンスを与える」。BIGBOSSの準備は完了。2月1日の球春到来が、待ち遠しい。【中島宙恵】

◆野村ノート 野村克也氏が現役、監督時代から気づいたことを残してきたメモを基にした手引書で、05年9月に小学館から発刊。「配球の原点」「弱者の戦法」といった独自の野球理論に加え、「指揮官・リーダーの心構え」など上司としての管理術、掌握術が記されており、同氏の数多くある著書の中でも特に有名。07年には神戸市の中学校に配られる選択国語の授業の教材にも採用された。

○…“BIGBOSS先生”が「しくじり体験」を明かした。レギュラーはキャンプ以上に、自主トレの成果で決まっていくというオフの重要性を説き、「僕もタイガース時代に1月29日までイタリア旅行へ行った時があって。30、31日と練習してキャンプに臨んだ年は、やっぱり一番、最低の数字でした。それくらい大事」。失敗談を交え、選手に練習を促した。

○…BIGBOSSはコロナ禍にも前向きだった。新型コロナウイルスの陽性判定を受けた清宮について「大丈夫ですよ。今の時期である意味良かったです」。2月1日から始まる春季キャンプに、支障がないことを強調した。「コロナになっていない選手は『チャンス!』と思うのが一番。なった選手は、なる前の状態に戻す努力ではなく、なる前以上の体作りをしてほしい」と、窮地でのレベルアップを求めた。