東都大学野球2部の東京農大が、今週からの実戦練習を前に、ドラフト候補に挙がる4人の選手が、そろってチームの飛躍を誓った。

今年、チームのスローガンに「不動心」を掲げた。これまでプロ野球選手を輩出するも、リーグ戦では1993年秋を最後に1部から遠ざかり、2019年秋には3部降格。翌年秋に2部昇格を果たすも、昨年は春秋ともに下位に甘んじた。選手たちは「自分たちに足りないものは何なのか」を話し合い「心をぶらさず、リーグ戦で持っている力を発揮する」という思いをスローガンに込めた。

昨秋、2部で最優秀防御率を獲得した左のエース・最速147キロの宮崎颯投手(3年=埼玉栄)は「(2部に甘んじているのは)悪い伝統。何かを変えなければ」と、投手陣の反骨心を促すため、この冬は走り込みの量を倍に増やし、トレーニングを重ねた。下半身、体幹が鍛えられ、毎日のキャッチボールもいい感触だ。「制球力、球速も上がっていると思う」とブルペンでの投球を心待ちにしている。「負けたままでは終われない」。その言葉には、宮崎の強い意志が宿っていた。

右のエースを担う最速147キロの鶴田克樹投手(3年=下関国際)もまた「勝てるチームにするために、完投能力を身に付けたい」と、今冬は初めてウエートトレに取り組み、体幹を鍛え体の動きも見直した。「球速を上げ、勝てる投手になりたい」と意気込む。

野手陣も負けてはいない。50メートル5秒8の俊足を誇る西表大夢外野手(3年=八重山)は、昨秋は左肘の靱帯(じんたい)を損傷しリーグ戦出場はなかったが、現在は完治し練習にも復帰。リハビリ中も、苦手だった左投手の走るタイミング、見極めを学び、早速実戦に生かす。「リードからスタートまで、突き詰めて考えるようになった。100%の盗塁成功を狙います」と力を込めた。

昨年春から正捕手に座る伴野司捕手(3年=春日部共栄)は「昨秋から配球のリズムが出てきた。配球に自信がついた」と、タイプの違う宮崎、鶴田をリードする。「僕らは上がっていくだけ。春は勝ちきりたい」と決意は固い。

ドラフトよりも、チームの勝利だ。「勝ちたいんです」。4人は口をそろえた。宮崎は「今年、自分たちの代で2部優勝、1部昇格を果たしたい。まずはチームの勝利に貢献すること。それしか見えていません」と、真っすぐ見つめた。4人の熱い思いが、チームを勝利へと導くはずだ。