巨人ドラフト1位の大勢投手(22=関西国際大)が、リニューアルされた東京ドームとともにベールを脱いだ。1日、実戦形式のシート打撃に初登板した。プロ入り後初めて打者と対戦し、直球は最速152キロを記録。打者4人に16球、内野安打1本に抑え、ネット裏で見守った原監督ら首脳陣に猛アピールした。自然豊かな兵庫・多可町で育った野性味十分の剛腕ルーキーが、開幕ローテ入りへ1歩前進した。

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豪快に腕を振った。巨人大勢がシート打撃で、剛速球を連発。ゆったりしたフォームから150キロ超の数字がリニューアルされたビジョンに次々と表示される。152、151、150…。平均球速150キロで押し、フォーク、スライダーで惑わす。対戦した中山、秋広、若林の全員を空振りさせた。「球場の感覚、ドームの感覚、マウンドの感覚は非常に投げやすかった」と東京の中心地にたたずむ“本拠地デビュー”を振り返った。

東京ドームから直線距離で444キロ。自然に囲まれたのどかな兵庫・多可町で生まれた。遊び場はゲームセンターやデパートではなく、実家近くの山や川。渓流で全長15センチほどのアマゴを手づかみで捕らえるのもお手の物だ。「石の下にいる魚を捕まえて、みんなで持って帰って食べた。山から持ってきた木の先をとがらせて、投げて魚を捕ったり。良い思い出です」と日々遊びに全力だった。

イノシシや鹿、たぬき、きつね、うさぎ…。身近な野生動物は挙げたらキリがない。近所の住民との結び付きも強く、ふらっと訪ねて、夕飯をごちそうになることもしばしば。「自然が豊かで遊ぶ場所がいっぱい。人も温かいです」と、東京とは異なる魅力にあふれる故郷への愛を胸に刻む。

今キャンプ直前に新型コロナ陽性判定を受け、実戦登板はいまだないが「こういう現状になってしまったからには、勝負していかないと。チャンスはそう多くない。しっかり自分の球を投げて、ものにしたい」と前を向く。5日からの日本ハム2連戦(札幌ドーム)で実戦デビュー予定。北の大地での活躍を足掛かりに、多可町の人口の約3倍を数える満員の東京ドームのファンを魅了する。【小早川宗一郎】

◆大勢のシート打撃の投球全球は以下の通り

【対中山】

<1>149キロ外角直球 ボール

<2>150キロ直球 ファウル

<3>127キロ内角低めスライダー ボール

<4>152キロ外角直球 ボール

<5>151キロ内角直球 見逃し

<6>150キロ直球 ファウル

<7>138キロフォーク 一ゴロ

【対秋広】

<1>137キロフォーク 空振り

<2>150キロ外角高め直球 空振り

<3>149キロ真ん中直球 中飛

【対若林】

<1>130キロスライダー ボール

<2>149キロ外角直球 見逃し

<3>136キロ外角フォーク 見逃し

<4>130キロ内角低めスライダー 空振り三振

【対中山】

<1>151キロ外角直球 空振り

<2>149キロ外角直球 遊撃への内野安打

▽巨人中山(シート打撃で大勢と対戦し、2打席目で内野安打)「真っすぐもすごい勢いで、変化球1つ1つもキレている。敵じゃなくてよかった」

▽巨人ドラフト2位・山田龍聖投手(21=JR東日本。1軍昇格即シート打撃に登板。打者4人に無安打1奪三振2四球)「だいぶボールは良かったと思う。あとは打者にどう攻めるか」