腰の張りを訴えていた阪神ジョー・ガンケル投手(30)が9日、開幕絶望となった。

開幕3戦目の27日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)の先発が有力だったが矢野監督らが無理と判断。代役はドラフト3位の桐敷拓馬投手(22=新潟医療福祉大)が決定的となった。首脳陣はさらなる有事に備え、“第7の男”として3年目右腕の小川一平投手(24)を緊急配備。昨季9勝右腕の離脱を総動員でカバーし、開幕ダッシュを目指す。

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やっぱり間に合わなかった。開幕3戦目のヤクルト戦が有力だったガンケルの先発が消滅した。広島戦前に甲子園で29球の投球練習を再開したが、見守った首脳陣が開幕アウトの断を下した。金村投手コーチは「開幕には間に合わない」と説明。矢野監督も「慌てて開幕に合わせるとは思っていない」と覚悟を決めた。

キャンプ終盤に腰の張りを訴え、2月27日のヤクルト戦(浦添)、今月6日の楽天戦(甲子園)と2度登板を回避。金村コーチは「最近ランニングもしていなかったので」と、実戦復帰まで時間を要する認識を示した。復帰も2軍戦になるが「3試合ぐらい使って、イニングを伸ばしながら」と、1軍での先発復帰は最短でも4月中旬以降になる見通し。ガンケルは「今焦ってケガは避けたい。後退することなく進めていきたい」と懸命に前を向いた。

代役はキャンプから好投を続けている新人左腕の桐敷が決定的となった。開幕カードのヤクルト2戦目、3戦目を、藤浪とともに任されることが濃厚だ。昨季の優勝チーム相手に、開幕青柳を軸に2人がどこまで踏ん張れるか。1週間後には、敵地で22年最初の巨人戦も控える折り返しだけに、大事なマウンドだ。

首脳陣はさらなる有事にも備えて“第7の男”も本格準備に入った。3年目右腕の小川に5日から先発調整をさせている。1軍でのスターター経験はないが、昨季2軍では登板11試合中、5試合先発を経験。今月4日の楽天戦でも3回を無失点に抑えるなど、スタミナも買って白羽の矢を立てた。

先発陣は5日の楽天戦で藤浪が4回5失点、8日広島戦で伊藤将が4回3失点と、オープン戦中盤にきて若干の不安を残す。内定している開幕6人衆に不調やアクシデントがあった場合、ジョーカー的存在の背番号66に救世主の期待がかかる。もちろん小川も気合十分だ。8日の取材で「長いイニングを投げられるように準備したい。内容にこだわり、その上で結果を求めたい」と意気込んでいた。

昨季の9勝右腕の開幕不在は大きな痛手だ。だが、今季限りでの退任を表明している矢野監督も有終の花道へ、まずは開幕ダッシュを決めたいところ。投手陣総動員で緊急事態を乗り切る構えだ。【石橋隆雄】

 

◆小川一平(おがわ・いっぺい)1997年(平9)6月3日生まれ、神奈川県出身。横須賀工から東海大九州を経て19年ドラフト6位で阪神入団。20年6月の巨人戦(東京ドーム)で1軍デビュー。昨季は8月31日の中日戦で初ホールド、9月8日のヤクルト戦で初勝利(ともに甲子園)をマークした。2年間の通算成績は登板40試合、1勝0敗、1ホールド、防御率3・83。183センチ、82キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1400万円。愛称はいっぺいちゃん。

▼阪神小川は1軍公式戦では先発経験がなく、救援での3イニングが最長。20年と21年に1度ずつ経験しており、2試合とも先発が大量失点後のマウンドだったが、3回無失点だった4日の楽天とのオープン戦も3番手で3回1安打無失点。ロング救援で結果を出している。