開幕戦に注目したファンは、BIGBOSSの野球を存分に楽しんだ。「スタメンは、そんなに大事とは思っていない。全員で戦っていく」。腹を決めているから、選手起用は意外性たっぷりで大胆だ。「4回くらい考えた」と悩んだ打順では、大砲タイプの今川を実戦で初めて1番に据え、オープン戦5本塁打ながら終盤は不調だった万波をスタメンから外した。

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そして最も周囲を驚かせたのは、投手起用だろう。開幕戦の先発に大抜てきしたドラフト8位北山は、ピンチをしのぎ2回無失点。その後は本来なら先発ローテの加藤や伊藤をつぎ込む仰天の継投で、最大のサプライズは7回。26日の予告先発が発表されている中継ぎの堀を投入した。

“マシンガン継投”の意図は、打者をかく乱するためと、もう1つ理由がある。新庄監督は「早めにマウンドで(投手陣の)緊張感を取りたかった。先のことを考えて」と明かし「面白かったでしょ? 継投。今日はうまくいかなかったけど」と、不敵に笑った。

「途中までは、はまっていた」と勝利は目前だった。1-0の8回、6番手の杉浦が走者をため、1死満塁からマウンドに上がった西村が、ガルビスに手痛い1発を浴び逆転を許した。「いや~、惜しかったね。面白い試合が出来たことは、うれしい。次は何とか、この逆パターンでいけたらいいかなと思います」。“らしさ”たっぷりの采配で黒星スタートも、明るく笑って、悔しさは、そっと胸に秘めた。【中島宙恵】