虎よ、何とかしてくれ! 阪神が早くも今季3度目となる0封負けを喫した。初回の強攻策が裏目に出て、最終回の同点機も、4番佐藤輝明内野手(23)、5番大山悠輔内野手(27)が連続三振に倒れた。開幕9連敗の後、引き分けを挟んで3連敗。借金は11に膨らんだ。打つ手がない矢野阪神。このままではシーズンが終わってしまう-。

    ◇    ◇    ◇

【関連記事】阪神ニュース一覧

大山のバットが広島栗林のフォークに空を切った。その瞬間、3万8051人の甲子園は大きなため息に包まれた。1点が入らない。9回1死三塁のチャンスに4番佐藤輝、5番大山が連続空振り三振。スタンドから応援バットが投げ込まれ、あいさつする矢野監督やナインに向けて、怒号が飛び交った。

初回には1番近本が中前打で出塁するも、続く中野が強攻で併殺打に倒れた。8回には高山ら3者連続で代打攻勢をしかけたが、無得点。広島遠藤を攻略できず、8回途中まで無失点に抑えられた。矢野監督は「最後…。その前にいかんとあかん。その前にもチャンスをつくっているし。全然打てないような感じには見えなかった」と厳しい表情で振り返ったが、スコアボードには「0」が並んだ。

懸案だった投手陣は立て直しつつある。先発ガンケルがマクブルームの2号ソロの1失点のみで7回を投げた。湯浅、岩崎は無失点でつなぐ。打線に当たりが、かみ合わないのが、現状だ。14試合で早くも3度目の0封負け。指揮官は「個々の調子を上げてくれと言うだけではダメ。俺らも何とか、何ができるか。声を出すとか応援するとか、アドバイスを送るとか。そういうのを探してやっていくしかない」と話すだけ。首脳陣が打開策を見つけられなければ、2勝目は遠い。

井上ヘッドコーチは「負けが込んでいる阪神だからと(遠藤に)自信を持って投げさせてしまった。出ている選手たちは『勝ちたい』『何とかしたい』という気持ちが強すぎて重圧になってしまい、なかなか殻を破れない状態」と、ナインの心情を察した。12日からは初対戦となる立浪中日との3連戦。鬼門のバンテリンドームでは大野雄、柳とエース級が待っている。「1弱状態」が続けば、シーズンは早々に終わってしまう。【石橋隆雄】