敗戦ムード漂う暗さを明るく振り払った。楽天西川遥輝外野手(30)が、1点を追う9回に右翼へ逆転2ラン。ソフトバンクを勝率で上回り、“マイナス0・5差”で首位に浮上した。この日が誕生日のリードオフマンは「節目の30歳でもありますし、忘れないと思います」と声を弾ませた。自身初のバースデー弾で、チームとファンへ最高のプレゼントを贈った。

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月が出る前に決めた。この日から17日の明け方にかけて満月になる。4月の満月は「ピンクムーン」と呼ばれ、見た人に幸せをもたらすと言われている。そんな天体ショーの前、まだ西日が差す9回1死一塁。左翼スタンドのビジター応援席が、ピンク色の“西川タオル”で染まった。1ストライクから、甘く入った143キロツーシームを鋭くスイング。右翼席中段へたたき込んだ。タオルが歓喜で揺れる中、ゆっくりとダイヤモンドを1周。喜びをかみしめた。それでも試合後は「まだ始まったばかりなので(首位浮上は)あまり気にはしてない。目の前の打席や試合を大事にしていけたら」と気を引き締めた。

打率、出塁率、安打、本塁打、打点、盗塁、すべてでチームトップの数字を残す。石井GM兼監督からも「すごく一生懸命ここまでやってくれてると思う」と称賛を送られた。今季加入したリードオフマン。西川がチームの先頭で明るく照らし、9年ぶりのリーグ優勝と日本一までの道を示していく。【湯本勝大】