また山賊がガチガチの鉄壁を築いた。西武が2日連続となる被安打1の完封リレーで連勝した。先発松本航投手(25)が7回1死まで無安打の投球。7回に2死二、三塁とピンチで降板したが、2番手水上由伸投手(23)が切り抜けてプロ初勝利をもぎ取った。前日19日ロッテ戦も初先発初登板の新外国人スミスが7回を無安打無失点の快投。西武といえば、猛打のイメージが強いが、この日も投手の力で勝った。

【ニッカン式スコア】20日の西武-ロッテ戦詳細スコア

オセオセの乱打戦を得意としてきた山賊が、2日続けてガチガチの鉄壁の牙城を築いた。またスコアボードに9回まで「0」を並べた。そして打たれたヒットも、わずかに「1」だけ。7回1死まではノーヒットに封じていた。膨らんだ無安打の期待は、ロッテ菅野に2日連続で打ち砕かれたが、Hのランプがともったのは試合終了まで、これだけだった。

4年連続防御率はリーグ最下位。“らしからぬ”形の連勝だが、それは課題だった投手力が整備されてきたことも意味する。辻監督は「う~ん。本当は打撃陣が早めに取ってあげればいいんだけど、それはそれで展開が変わるだろうし。すごく緊張感のある投球だったと思う。成長につながる」と、今までとは少し違う勝利の味をかみしめた。

前日19日ロッテ戦では、来日初登板の先発スミスが7回を無安打無失点の快投を演じた。その流れを受け継ぐように、先発の松本も球に決意を込めた。脱力しながら、しっかり腕を振る。140キロ台中盤の直球を軸に、100キロ台のカーブも有効的に使った。緩急を大事に的を絞らせなかった。振り返る「結果的に1安打というだけ」の言葉が頼もしかった。7回2死二、三塁の場面でマウンドを託された水上は見事に火消し。続く平良、増田は3者凡退と危なげなかった。

今季の投手陣が繰り返す言葉がある。思いを代弁するように松本は言った。「ピッチャーで勝てる試合を増やしたい。この気持ちを最後まで持って投げていきたい」。それを現実にして、チームは3位に浮上した。【上田悠太】

 

◆水上由伸(みずかみ・よしのぶ)1998年(平10)7月13日、長野・宮田村生まれ。帝京三-四国学院大を経て20年育成ドラフト5位で西武入団。21年5月に支配下登録。初登板から17試合連続無失点はパ・リーグ新人記録。今季推定年俸1000万円。176センチ、77キロ。右投げ右打ち

▼西武が2試合続けて1安打の完封勝ち。2試合連続で被安打1以下に抑えたチームは、95年日本ハムが7月4、5日の西武戦で記録して以来、27年ぶり7度目。西武では初で、2試合とも継投での1安打リレーはプロ野球史上初めてだ。また、2試合連続の1安打以下の完封勝利は95年日本ハム以来2度目。日本ハムは4日がグロスの1安打完封、5日が西崎の無安打無得点だった。