阪神高橋遥人投手(26)が1年半後の完全復活を目指し、苦渋の決断をした。

球団は26日に「左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術」を終え、入院していた病院を25日に退院したと発表。昨年11月上旬に左肘のクリーニング手術を受けていたが、状態は思わしくなく、トミー・ジョン手術へ踏み切った。損傷した肘の靱帯(じんたい)を切除し、他の部位から正常な腱(けん)を移植する手術。復帰には1年半ほどかかるため、今季中の復帰は絶望で、来季も開幕には間に合わない見通しだ。

昨季は上肢コンディション不良で出遅れたが、9月に1軍昇格し7試合で4勝2敗、防御率1・65と圧倒的な投球を見せた。今季も戦力と考えていた矢野燿大監督は「もちろん痛い。昨年の時点では5月くらいに、帰ってこられるんじゃないかというのはあった。(今季絶望は)もちろん承知している。遥人の野球人生がある」と、長期離脱を受け止めた。

高橋はこの日、自身のインスタグラムに左腕にギプスのような器具をつけた姿の写真をアップし、ファンに報告した。球団を通じ「肘の不安を取り除いて万全の状態にするために手術することを決断しました。チームの力になれず申し訳ない。もう1度、マウンドに戻ってきて、チームの力になれるように」とコメントした。これまでよりもさらに強く、いい球を投げられるように、長く苦しいリハビリに取り組む。また甲子園で必ず圧倒的な投球を披露する。

<阪神高橋の経過>

▼手術 昨年11月19日に大阪市内の病院で左肘クリーニング手術を受ける。

▼契約更改 昨年12月、300万円増の年俸3200万円で契約を更改(金額は推定)。上肢コンディション不良で出遅れも、9月に1軍昇格し7試合で4勝2敗、防御率1・65の成績を評価された。「大学1年生のときにも(クリーニング手術を)してるんで。別に不安じゃない。治るものだと思っている」と話した。

▼自主トレ 年明けからキャッチボールを再開。「痛みや違和感は少しはありますが順調です」と話す。

▼春季キャンプ 高知・安芸の2軍キャンプに参加。スロー調整ながら、キャンプ序盤からブルペン入りした。

▼シーズン開幕 左肘の状態が上がらず、実戦登板もなく、トミー・ジョン手術を決断した。

 

◆トミー・ジョン手術 損傷した肘の靱帯(じんたい)を切除し、他の部位から正常な腱(けん)を移植する手術。74年にフランク・ジョーブ博士が、左肘の腱を断裂した通算286勝のトミー・ジョン投手に初めて施術したことからこう呼ばれる。日本では、村田兆治(ロッテ)桑田真澄(巨人)らも受けた。ソフトバンク在籍中のスアレスも17年4月に手術し、約1年間リハビリ。阪神に移籍した20年から2年連続で最多セーブと、復活を果たした。

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