「朗希世代」の逸材がブレークの予感だ! 高卒3年目の阪神西純矢投手(20)が巨人戦に今季初先発し、7回3安打1失点、自己最多8奪三振の好投でプロ2勝目をもぎ取った。

5回にはプロ初安打も記録。今季完全試合を達成したロッテ佐々木朗と同学年の右腕が成長の跡を残し、チームは東京ドームで宿敵を相手に9年ぶりとなる同一カード3連勝。6連勝で「反攻の5月」の幕が開けた。

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宿敵が相手の敵地マウンドでも、西純は野球少年のように楽しんでいた。「常に心がけている」という笑顔を何度も浮かべ、空振り三振を奪うと、激しくグラブをたたきガッツポーズ。味方打線が点を取れば、ベンチで跳びはねて喜んだ。巨人戦初登板で7回3安打1失点。5回にはプロ初安打も記録した。今季初勝利となるプロ2勝目をつかみ取り、お立ち台で最高の笑顔を見せた。

「いや~、もう本当に最初すごく緊張していたんですけど、試合に入ったら集中できて、梅野さんのリードのおかげで自分のピッチングができたと思います」

最速153キロの直球と切れ味抜群のフォークがさえ渡った。初回2死一、二塁のピンチでは「いつもより2、3キロ速くて、自分でもびっくり」と、5番丸を146キロのフォークで空振り三振。2回先頭のウォーカーに先制ソロを許すもストライク先行の投球で3回以降で許した走者は1人。自己最多の8三振を奪う快投で首位を走る巨人打線をねじ伏せた。

「脱力投法」で制球力が格段にアップした。昨季までは常に全力で投げるスタイル。「1回いい投球をしてもすぐにコンディションが悪くなりやすかった」という。悩んでいた3月下旬、鳴尾浜で一緒に練習する機会があった青柳、西勇から7割の力で投げる投法を伝授された。「『そういうピッチングをしてみたら』って言われて、やってみたらすごくよかった。疲れた感じもなく、狙ったところに投げられるようになった」。ゾーン勝負で長いイニングを投げる力も身についた。「ずっとやってきたことが出せた」と胸を張った。

ロッテ佐々木朗を始め、1軍で活躍する同世代の活躍が原動力だ。「ずっと負けられないと思っていた。なかなか歯がゆい日々が続いていた。今年は本当に『やるぞ』っていう気持ちで去年の秋季練習から過ごしてきた」。27日からは交流戦のロッテ3連戦(ZOZOマリン)が予定されている。このまま先発ローテに定着すれば、親交のある佐々木朗との投げ合いも実現する可能性もある。「同級生の活躍は自然と目に入ってくる。最終的には1番になれたらいいなと思います」と目をギラつかせた。【古財稜明】

○…阪神矢野監督(先発西純について)「ショートアームって感じにして、角度がすごくついていた。スピードガンの速さも出ているけど、それ以上に角度がついた。そういうところでバッターが速く感じているのもある。空振りとかファウルとかがとれるようになっている。だからフォークも効く。次? もちろん、外す理由がない」

○…西純の弟、広島・広陵の凌矢外野手(3年)も兄に負けじと7年ぶり17度目の春季県大会優勝に貢献した。この日、崇徳との決勝で本塁打を放ちチームは16-6の圧勝。西純は「びっくりです。今日もホームラン打っていた」と笑顔。「その力にあやかってじゃないですけど、自分にとっていいものはどんどん取りいれて、吸収して、そういう気持ちでやりました」。同じ背番号15を背負う弟の活躍に、兄は快投で応えてみせた。

▼19年ドラフト1位の西純が、巨人戦初登板で先発勝利。阪神の投手では、伊藤将が昨年4月7日(甲子園)で勝って以来。右腕では、青柳の16年7月7日(東京ドーム)以来。高卒ドラフト1位投手では、藤浪の13年8月4日(東京ドーム)以来となった。

◆西純矢(にし・じゅんや)2001年(平13)9月13日、広島県生まれ。創志学園では2年夏の甲子園大会で1回戦・創成館戦で16奪三振完封。U18日本代表。19年ドラフト1位で阪神に入団。昨年5月19日ヤクルト戦でプロ初登板先発勝利。通算は3試合登板で2勝1敗、防御率2・40。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1250万円。

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