主砲が“もぐもぐアーチ”でコイをつかまえた。巨人岡本和真内野手(25)が貫禄の11号同点3ランで、チームを救った。3点を追う6回に広島九里のど真ん中のチェンジアップを完璧に捉えた。劣勢をはね返す1発で逆転勝利を演出した。7回に代打中島宏之内野手(39)の決勝打、8回に広岡大志内野手(25)のダメ押し打で5戦ぶりの勝利をつかみ、連敗を4で止めた。

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風に乗る。岡本和の打球は、左翼方向へ吹く流れに身をまかせた。大型連休のど真ん中。雲ひとつない野球日和に、カープファンで赤く染まる球場が静まりかえる。左中間席に飛び込む125メートルの大飛球は五月晴れの空を優雅に泳ぐ、こいのぼりのようだった。

3点を先制された直後の6回無死一、二塁。広島九里が3ボールからど真ん中に投じた129キロチェンジアップを見逃さない。「3ボールだったので、しっかり仕留めなければいけない。ゾーンを小さくして甘い球だけを打ちに行った。(打ち損じても)ファウルになればいいぐらいの気持ちだった」と、論理立てた11号3ランだった。

得点圏に走者を進めた3回の吉川、4回の丸、5回の吉川の安打はいずれも本塁クロスプレーで阻まれ、遠かった1点。本塁打なら憤死の心配もない。「ここ最近流れが良くなかった中でああいうこと(憤死)も起きた。そこでホームランを打ち、その後、勝ち越しできて良かった」と安心した表情を浮かべた。

身長196センチ、体重104キロのウォーカーに「いつも岡本のようなパワーに憧れていて彼のようにたくさんご飯を食べてきた」とまで言わせる。体格に恵まれた新外国人もうらやむ巨人の4番は「こどもの日」前日、敵地とはいえ野球を志す少年、少女に夢ある1発を届けた。

4連敗した前日。原監督は自身に言い聞かせた。「逆風だってヨットは前に行くんだから」。

坂本主将、エース菅野の不在。4連敗。そこに3イニング連続憤死と吹き荒れた逆風を、主砲は前へ向かう推進力に変えた。【三須一紀】

○…巨人中島が勝負強さを発揮した。同点の7回1死三塁、香月の代打で登場。広島3番手塹江から三塁線を抜く適時二塁打をマークした。「点を入れることしか考えてなかった。何球か見てるうちに打ちに行くタイミングも合わせられたんちゃうかなと思いますね」とフルカウントからの一打を振り返った。

▽巨人広岡(1点リードの8回2死一、二塁から右中間へ2点適時三塁打)「追い込まれてはいましたが、絶対に打ってやろうという強い気持ちでいきました」

▽巨人原監督(逆転勝ちで連敗を4で止め)「まあまあ。あの苦戦するのはやっぱり上等ですよ。その中で我々がいかに戦っていくかですね」

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