左のエースだ。広島床田寛樹投手(27)が阪神7回戦(甲子園)で今季初完封勝利を挙げ、リーグトップタイ4勝目を手にした。8回まで散発3安打に抑える好投。9回に招いたピンチも中軸を封じた。昨年9月21日巨人戦以来、自身2度目の完封劇でチームを3連勝に導いた。

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転んでも、打球が直撃しても、床田は起き上がった。3-0の9回無死一、二塁で中軸を迎えても、力勝負を挑んだ。マルテを初球真っすぐで浅い中飛に打ち取り、佐藤輝はツーシームで右飛に抑えた。大山には3ボールから最後の力を振り絞り、126球目ツーシームで三ゴロ。27個目のアウトコールを聞くと、思わず両手を上げた。

「最後だったので思い切り投げようと思ったんですけど、打たれて、やばいわーと思った。前回(3日巨人戦)も、その前(4月20日巨人戦)も途中で降りたので、同じようになりたくなかった」

試合後はいつもの床田節も、マウンドでは貫禄すら漂わせた。直球が走り、変化球の切れも良く、さらに制球まですべてが抜群だった。左前打で出塁した5回は次打者中村健の左前打に二塁ベースを回ったところで転び、ユニホームだけでなく顔面にも土がついた。「ばり恥ずかしかった」と苦笑いするミスも、投球で取り返した。9回、先頭近本の打球が左足を直撃しても最後まで投げ抜いた。パームが注目される今季、バッテリーを組む会沢は「全体的にいい。特に真っすぐがいいから、ほかの変化球も生きている」と目を細める。この日は最後まで直球主体で押し通した。

昨年9月21日巨人戦以来、自身2度目の完封勝利でリーグトップに並ぶ4勝目を手にした。これで阪神戦は昨季から4連勝。佐々岡監督は「本当に良く投げてくれた。全球種がゾーンで勝負できていたと思います」とたたえた。快調に白星を積み重ねる左腕は「1試合1試合しっかり投げて、キャリアハイを目指したい。(この先は)暑さとの勝負もある」とすでに先も見据えている。【前原淳】

 

○…9戦ぶりにスタメンマスクの広島会沢がマルチ安打で安心させた。2回2死一塁では左前打。6回2死では中前打を放った。複数安打は4月17日中日戦以来。「試合にでているということはそういうこと。僕自身はいつでもいける準備だけはしようと思う」と回復を強調した。4月29日の中日戦で6回に併殺打を放ち、直後の守備から交代。その試合以来のスタメンだった。

○…広島小園が2戦連続適時打で開幕1、2戦目以来の2試合連続打点を挙げた。安打も4戦連続と調子を上げてきた。2-0の8回無死満塁で岩貞から右前適時打。点差を3点に広げる大きな1点を呼んだ。「高い球をしっかり一発で仕留めることに集中していた。積極的にというのが自分の持ち味。そこを忘れずにできて良かった」。1ボールから放った適時打に満足顔だった。

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