日本ハム金子千尋投手(38)が、プロ通算130勝目を挙げた。

11日、オリックス8回戦(札幌ドーム)で序盤の援護に背中を押され、5回4安打1失点。移籍1年目となる19年9月24日オリックス戦以来、先発では960日ぶり勝利を挙げた。チーム最年長の好投で、チームは連敗を2で止めた。

  ◇  ◇  ◇

金子は柔らかい笑みで、遠ざかっていた感触を確かめた。先発では960日ぶりの白星。プロ通算130勝目も重なり、ひときわ輝く1勝となった。「本来だったら去年のうちに(130勝は)通過点として挙げたかった。シーズン早いうちに挙げることが出来て良かった」。5回4安打1失点。節目の勝利球を握り締め、沢村賞右腕が1勝の重みをかみしめた。

同じ轍(てつ)を踏まなかった。前回捕まった立ち上がりは、持ち味の多彩な変化球で幻惑して踏ん張った。スライダーやスプリット、ツーシームなど全球種となる7種類を駆使して、的を絞らせなかった。「“自分”と勝負じゃなく、バッターと勝負できた」。新庄監督は「金子君がいいテンポで投げてくれたおかげで打線がつながった」と感謝した。

昨季はプロ1年目以来の未勝利。登板数も、実働16年で最少の8試合にとどまった。年齢による球速の低下にあらがおうとしたことが、裏目に出た形だった。「去年は去年で割り切って、また今年頑張ろうと思っていた」。今春のオープン戦が終わった時期に「対打者」への意識付けが明確になり、それが結果になって表れ始めた。

今季からチーム最年長となった。変わりゆく立場を自覚している。同学年には公私で親交あるオリックス平野佳やソフトバンク松田、楽天川島らがいる。「今、残っているのは野手のほうが多いのかな。できるだけ生き残れるように頑張りたい」と現在地を再確認する。少なくなった“戦友”だが、なれ合いは必要ないと思っている。「交流してしまうと、今度は投げづらくなってしまう、というのは僕の中である」。勝負の世界に徹してきたからこそ、これまでプロの世界で重ねてきた歩みがある。

「この1勝で終わらず、次の試合もチームに貢献出来るように、一生懸命に投げたい」。栄光も挫折も味わった。真価の問われる18年目のシーズンが、ここから始まる。【田中彩友美】

▽日本ハム新庄監督(3試合ぶりの勝利に)「金子君がいいテンポで投げてくれたおかげで、打線がつながった。攻撃面は作戦を決めてほしいところでミスがいくつかあったから、それを減らしていかないと成長はないね」

○…松本が自身初の1試合4安打をマークした。1番中堅で2試合ぶり先発に復帰。1回先頭で中前打を放ち、先制の生還を果たすなど、4打数4安打2得点2盗塁。打率は3割8分2厘に上がり、首位打者の座をキープした。「今日はちょっと積極的にいこうと思って初球からガンガン打ちにいって、いい結果になってくれた」と、手応えを感じていた。

【関連記事】日本ハムニュース一覧