2位九産大が、首位九共大との直接対決を5-3で制し、春8連覇へ逆王手をかけた。今秋ドラフト候補の最速151キロ右腕、渡辺翔太投手(4年=北九州)が、7回2/3を6安打3失点で今季5勝目を挙げた。昨春の直接対決でも逆王手に貢献。好相性の相手から、気合の丸刈り頭で9奪三振を奪い、再び優勝の可能性を引き寄せた。連勝すれば勝ち点4で並ぶが勝率で上回り、優勝が決まる。

“丸刈りエース”が、チームを逆王手に導いた。渡辺は疲労の蓄積で、本調子ではなかった。だがキレのある140キロ台中盤の直球をコーナーに投げ分け、パームボール、シンカー気味に落ちる変化球スプリームなどを織り交ぜ、翻弄(ほんろう)。6回まで2安打無失点でしのいだ。7回にソロ本塁打を浴びるなど、後半バテ気味で8回途中に降板したが、大黒柱の意地を見せた。

気合を入れ直した。先発で5回途中2失点し、敗れた9日の日経大戦後、長さ6ミリの丸刈り頭に。「最後、神宮に行けないのは悔しいので、気合を入れた」と、6月6日開幕の全日本大学選手権大会出場へ執念を見せた。昨春も九共大との直接対決1戦目で、逆王手に貢献。強力打線封じのイメージは出来ていた。

15日に勝てば、春8連覇がかなう。100球めどのこの日の投球数は112球。連投の可能性も十分ある中で「明日(15日)は総力戦。九共大も必死で来ると思うので、連投できるよう調整したい」と意気込んだ。チームのため、エースはフル回転する覚悟だ。【菊川光一】

■九共大、決めきれず

九共大は12年以来10年ぶりの春優勝を決めきれなかった。相手エースの渡辺対策が不発に終わった。主将の梁瀬慶次郎内野手(3年=長崎日大)は「真っすぐを打つ練習をしてきた」と明かし、ソロで一矢報いた。だがチームは9三振と、試合の流れをつかめず。それでも、勝てば優勝する15日へ「日本一を目指しているチームにとっては、いい緊張感」と、大詰めでの厳しい試合を歓迎した。