犬鷲たちが、目を覚ました。楽天は打線が奮起し、連敗を4で止めた。1点を先取された直後の3回2死一、二塁、浅村が同点の中前適時打を放った。序盤に点を取ったことで、力みが取れたように打線がつながった。4回先頭で打席に立った辰己が左中間への3号ソロを放って勝ち越し。5回1死一塁で浅村が左中間へ2ラン。7回2死満塁では代打銀次が左翼へ2点適時打を放ち、試合を決めた。合計10安打6得点。ベンチに活気が戻った。

直近4試合で1得点。試合前、深刻な得点力不足に悩まされている状況を石井GM兼監督は「みんなが頑張りすぎている」と表現した。結果が出ないあまりに何とかしようと力が入ったここ数試合だったが、吹っ切れたように、野手陣が甲子園を駆け回った。

リーグ首位を走るが、5月に4連敗を2度、経験した。17年には貯金31から急失速でV逸。苦い経験がある。石井GM兼監督は「うちで言うと後半苦労するというのはあるけど、別に。今が苦労しているから」と意に介さない。それでも、ようやくつかんだ1勝は、何よりも良薬になる。「いいきっかけになればいい。チームとして得点を取れたのは、仕切り直しができたのかな」。再びペースを上げていく。【湯本勝大】

▽楽天浅村(不調が続いていたが、1本塁打3打点)「自分の調子でチームが左右されるというのはずっと思っていることなので、もどかしい気持ちはありますし、いいきっかけにできればなと思っています」

▽楽天辰己(4回先頭で左中間へ勝ち越しの3号ソロ)「これが浜風って感じですかね。(甲子園は)地元なので、もう少し打席に立つ時に盛り上がるといいなと思いました」

○…楽天辛島が20年10月29日西武戦以来、573日ぶりの白星を挙げた。左肘クリーニング手術から復帰し、同11月5日オリックス戦で先発して以来のマウンド。スライダーを効果的に使い、打たせて取った。5回3安打1失点で通算50勝目。「周りの先発の先輩たちがすごいので、50勝と言われるとちょっと恥ずかしい。もっと頑張りたいと思います」と控えめに意気込んだ。